元気印のインテグレータ
<元気印のインテグレータ>第11回 アイティソリューションサービス(下)
2002/09/16 16:04
週刊BCN 2002年09月16日vol.957掲載
インターネットVPNに注力
インターネットVPN(仮想私設網)の売上構成比が急速に高まってきた。アイティソリューションサービス(ITSS)では、丸紅系の通信事業者「ヴェクタント・ジャパン」のインフラを使い、安価な専用線的データ通信網であるインターネットVPNの構築に力を入れる。
ITSSの親会社である住友電設は、来年4月以降、本社と地方拠点約50か所を結ぶ専用線をインターネットVPNに順次置き換える。
この通信網上で、音声会話(VoIP=インターネット電話)も乗せる計画だ。PBX(構内交換機)もVoIP対応のものに変える。投資金額は約5000万円で、構築期間は約1か月。インフラにはヴェクタントの通信網を使う。
親会社以外にも、インターネットVPNとVoIPとをセットにして導入する需要が高まっており、ITSSではすでに10数社の専用線を同システムに置き換えた。
ネットワークソリューション事業部・重里雅男ディビジョンマネージャーは、「ヴェクタントのインフラは、音声遅延が少なく、VoIPに適している。当社では今年8月からヴェクタントの回線を使うことに決めた。地方拠点を多くもつ事業者や、飲食店など全国にフランチャイズ網をもつ顧客には、とくにインターネットVPNやVoIPに対する引き合いが強い」と話す。
「地方拠点には、ADSLなど安価なアクセス線を引き、本社とVPNでつなげる。交換機を使った通信や専用線の価格が大幅に値崩れしているとはいえ、これまでの受注経験から言えば、VoIPも含めて、従来比で2-3割の通信経費を削減できる」のが人気の秘訣だ。
「VPN系のサービスは、価格が安いことが最大の利点。回線品質の良さでヴェクタントを選んだが、今後、仮にフュージョン・コミュニケーションズの方が安いとなれば、インフラを乗り換えることもあり得る。通信事業者の選択は、顧客の利益を最優先して選ばなければ、何のためのVPNか分からなくなる」と厳しい。
インターネットVPNやVoIPなどネットワーク系のシステム構築の延長線上には、今後、運用アウトソーシングやセキュリティ商材の品揃えを強化する方針。
「たとえば、VPNへの切り替えで5000万円受注しても、それだけの単発受注では継続性に欠ける。ネットワークサービスの運用受託やセキュリティ監視など、継続的な収益構造に、どう結びつけるのが今後の大きな課題」と話す。(安藤章司)
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