大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第48話 よさこい祭り

2002/09/09 16:18

週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載

メガフューション 取締役 水野博之

 夏と言えば祭りである。祭りと言えば「よさこい」と心得ていて、今年も見に行った。ちなみに「よさこい」と言うのは「夜さ来い」と言うことだそうで、なかなかロマンティックな響きがある。「夜さ来い」と言うだけあって、昼頃から夜半まで高知は「よさこい祭り」一色となる。

 祭りは高知の人たちだけで行われるわけではない。全国津々浦々からやってきて踊られるわけで、実に今年は100に余るグループが参加した。史上空前の賑わいである。景気はどん底であるのに、祭りは最高というのは一体どういうことなのだと考えざるを得ない。同行した外人のひとりが、「これで景気が悪いなんて、とてもとても」とうなっていたし、他のひとりは、「日本人のエネルギーって大したもんだ」と舌を巻いていた。

 あの腹にこたえる「よさこい」の音頭を目の前にすれば、この感想は当然であろう。「なぁに、多少ヤケのヤン八になっとるんじゃないか」と謙遜しておいたが、私自身も大いに驚いた。これは、要するに「日本人は目標さえ与えられれば一致協力、世界中が驚くようなエネルギーを出す国民」なのだ。いま、国民が求めているのは「新しい目標」なのであろう。

 かつて、この目標は明確であった。「日本を西欧諸国に並ぶ近代国家としよう」ということであった。この明治建国以来の目標が達成された現在、いまだに次の目標がはっきりしないまま、ウロウロしているのが今の日本であろう。ゴジャゴジャ言ったってわかりませんわなぁ。どんと一言で良いのだ。21世紀の日本はどうなるのか、どうしようとするのか、ほうはいたる議論を巻き起こしたらよいのだ。それは政府の役人の考えることでもない。刻人が考えることなのである。まさにそのプロセスが大切なのだ。(高知・帯屋町にて)
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