元気印のインテグレータ
<元気印のインテグレータ>第10回 アイティソリューションサービス(上)
2002/09/09 16:04
週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載
独自サービスを模索
出資会社への“依存”なのか、あるいは“貢献”なのか――。住友電設55%、東光電気工事20%、その他、TIS、丸紅ソリューション、ワイ・ディ・シー、光電舎、エス・シー・エスなどが数%ずつ出資し、99年10月に設立されたのがアイティソリューションサービス(井原將社長、ITSS)だ。年商約35億円のうち7割が出資会社の顧客を対象とした売り上げが占め、これに「出資会社がらみ」の案件を含めれば、売り上げの大半を占める。
社員155人のうち大部分は住友電設の情報通信システム事業部からの出向で、技術者が8割を占める。設立から3年が経つにも関わらず、出資会社への依存度が依然として高いことについては、社内での議論が続く。もともと、24時間のコールセンターなど保守サービスや運用アウトソーシングに強いため、出資会社に広く「利用してもらう」のが設立の目的。現在の状態が当初の目的から外れているわけではない。
しかし、独立法人である以上、独自の優位性あるサービスを打ち立てるべきという声も強い。新規事業を担当するネットワークソリューション事業部の重里雅男ディビジョンマネージャーは、「独自と言えるかどうかは分からないが、インターネットVPN構築からウェブ制作、ソフトの受託開発、事務所移転(リロケーション)の請け負いに至るまで、種種雑多なサービスやソリューションを幅広く手がける」と、将来の成長の可能性を探る。
産学協同研究として、大阪市立大学の医学部、工学部と共同で今年4月から来年3月末までの1年間、視力が弱くてもパソコンの画面が見られるようにする研究に参加。また、ある理工系大学とICカードの技術研究にも加わるなど、研究機関から積極的に学び取る努力を続ける。
独自ソフトとしては、大学向けに携帯電話を使ったシステムを開発。講義・休講情報や掲示板、教室移動、学生の呼び出しなどが携帯電話を使って確認できるシステムだ。学校の基幹システムと連動して動くようにする“作り込み”も手がける。
重里マネージャーは、「幅広い取り組みでは他社に負けない。しかし、実際の金額として数字に表れているかどうかはこれからの課題」と、厳しい評価を下す。
このなかから、ひとつ、ふたつ芽が出てくれば、大きな成果に結びけられる可能性は十分にある。(安藤章司)
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