e-Japan最前線
<e-Japan最前線>9.ダークファイバー開放問題
2002/09/02 16:18
週刊BCN 2002年09月02日vol.955掲載
有効利用を目指せ
「開放された区間や芯線数、接続するルールなどを聞く限り、使いやすい制度とは言いにくいという印象ですね」(大手通信事業者幹部)。説明会開始から1か月、通信事業者からは厳しい声も聞こえてくる。今回の説明会で明らかになった具体的なルールは、(1)開放区間は事務所、出張所、約10キロ間隔で指定する指定クロージャ等の間で開放する、(2)最小開放芯線数は1テープ(2、4、8芯)単位、(3)開放区間内への追加クロージャ設置は認めない、(4)事務所、出張所内などへの中継装置、伝送装置などの設置は認めない――など。実際に開放される区間を配布資料で確かめてみると、「途中で接続されずに切れている部分もあり、長距離でまとめて借りるのが難しく、貸し出される芯線数も決して多いとは言えない」(通信事業者幹部)と言ったことも判ってきた。ダークファイバー(未利用光ファイバー)の開放問題が大きくクローズアップされたのは約1年前のこと。国が保有する国土管理用光ファイバーだけでなく、NTT、電力会社、JR、営団地下鉄などが保有する全てのダークファイバーが開放の対象として浮上。国土交通省の制度づくりが進められる間に、その他のダークファイバーの開放が先行して始まっている。「確かに、分担金の1芯1メートル年間16円という安さは魅力的。しかし使い勝手から言えば、やはりNTT東・西が使いやすい。長距離なら、電力会社のものも魅力的」。低廉な価格設定が行われたものの、ダークファイバー全体の開放が進むなかで国土管理用ファイバーも選択肢のひとつという位置づけとなりつつある。
国土交通省でも使い勝手の面での制約は認めている。早急に開放を実現するため、“兼用工作物管理協定”を結ぶことで利用可能にするなど柔軟に対応してきたが、「あくまで施設管理用」という制約はどうしてもかかってしまう。利用説明会で、中込調整官も「もともと施設管理用に敷設したものだけに、扱いづらい可能性もある。また、将来は管理用に戻すというのが前提で、これは制度の根本にかかわる部分」と、制度に対する理解を求めた。その一方で、「できるだけ利用しやすい制度とするために、通信事業者ともこれから議論していきたい」との意欲も見せる。
来年3月に県内全域をカバーする通信インフラ「岐阜情報スーパーハイウェイ」が完成する岐阜県。岐阜県のIT関係者は「今回の国土交通省のルールは、県保有の光ファイバーを貸し出す時の最低限のルールになると理解している」という。「どの区間が開放されるかという情報は積極的に収集して利用できる区間はぜひ利用したい。ただ、利用ユーザーが決まって申し込もうとしたときに、ユーザーが要求する期間内で利用可能になるのかがポイントだ」(通信事業者)。税金を投入して国や地方自治体が整備を進めてきた光ファイバーの有効利用が果たしてどこまで進むのか。今月から始まる利用受付の動向が注目される。(ジャーナリスト 千葉利宏)
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