元気印のインテグレータ
<元気印のインテグレータ>第9回 サンモアテック(下)
2002/09/02 16:04
週刊BCN 2002年09月02日vol.955掲載
EAI構築を提案
親会社サントリーからの受託案件が多すぎると、自社の独自性が埋もれてしまう…。サンモアテックは、サントリーの情報システム運営を受託する一方で、自主独立の情報システムベンチャーとしての“焦り”も隠さない。競争力ある独自のソリューションやサービスを早期に確立することで、グループ外に向けた販売に力を入れる。同社が最初に目をつけたのが、携帯電話を使った営業支援システム(SFA)である。J-フォンなど通信事業者からの協力で、今年から商談が本格的に始まった。来年度(03年12月期)には、携帯電話関連のシステム販売で3億円を売り上げる計画だ。
だが、年商35億円(02年12月期見通し)の同社にとって「3億円」は決して多い数字ではない。マーケティング部長兼e-ソリューション事業部・松本道典営業部長は、「携帯電話を使ったSFAは、独自性や企業ブランドを打ち出しやすい。Javaなど最新技術も習得できる」と、規模以外の利点を強調する。
確かに、SFAなど情報系(フロントエンド)の部分だけのシステム構築では、事業規模の拡大に限界がある。また、サントリーの基幹業務システムの受託運営で培ったノウハウも活かせない。
そこで、考え出したのが、EAI(業務アプリケーションの統合)をベースとした基幹系システムの刷新提案だ。基幹系に食い込めば商談規模の急拡大が期待できる。
携帯電話を使った受発注・在庫確認など、外部から情報を参照するには、基幹業務で使っているアプリケーションを、ある程度整理統合する必要がある。サントリー本体では、昨年8月からビトリア社のEAIパッケージ「ビジネスウェア」が稼働。メインフレームやUNIXからパソコン、携帯電話に至るまで、あらゆる端末から情報リソースを活用できるようになった。同社では、このEAI構築ノウハウを、基幹系システムの刷新提案に応用する考え。
松本部長は、「EAIを導入することでリアルタイム処理が可能になる。携帯電話などの新しい端末は、基本的にすべてリアルタイム処理。携帯電話を使ったSFA系のシステムとEAIを組み合わせた提案で、情報系だけでなく、基幹系の刷新も包含した受注拡大を見込む。サントリー本体は大企業向けのEAIであるビジネスウェアを採用したが、中小企業向けには別のEAIを提案するなど柔軟に対応する」と、中小から大企業まで幅広く対応する考え。(安藤章司)
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