元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第8回 サンモアテック(上)

2002/08/26 16:04

週刊BCN 2002年08月26日vol.954掲載

携帯電話で在庫情報を

 3年後には、外販比率を50%に高める――。サントリーの子会社で情報システムベンチャー・サンモアテック(前田祥次社長)は、親会社への依存体質の脱却を目指す。だが、現状は、売り上げの8割をサントリーグループに依存し、サントリーグループ以外の外販は残り2割にとどまっている。

 親会社のサントリーは、社員数2万1000人、連結売上高1兆4000億円を超える国内有数の酒類・飲料メーカー。この企業の基幹システムの受託運営を任されていることにより、サンモアテックは年商33億円、経常利益4000万円(01年12月期実績)を稼ぎ出す。

 しかし、親会社の情報システムの受託運営だけでは、売上・利益ともに横這いのまま。情報システムの外販事業を成功させてこそ、サンモアテック自身の収益や企業価値、情報システム全般の技術力が向上する。

 外販部門を担当する松本道典マーケティング部長兼e-ソリューション事業部営業部長は、「今後3年以内に、年商50-60億円に増やし、非グループ向けの外販比率を50%に高める」と強気の計画を打ち立てる。

 「外販比率を50%に高めることは、他企業の情報システムの進んだ部分を積極的に学ぶことにつながる。これは当社の企業価値向上だけでなく、巡り巡って、サントリー本体の情報システムをより競争力のあるものに仕上げるのに役立つ」と話す。

 外販への切り口は、携帯電話とJavaだ。昨年8月から約1年間をかけて、サントリーの営業担当者向けに携帯電話を使った在庫検索システムを構築した。サントリーが扱うワインの種類だけでも約2万種類。これまでは、営業担当者が酒類販売店に出向いても、在庫状況を即答することができなかった。だが、携帯電話を使うことで、在庫情報をリアルタイムに把握できるようになった。

 松本部長は、「営業支援システム(SFA)を構築しているうちに、携帯電話とJavaの潜在力を肌で感じるようになった。なかでも、端末に携帯電話を使うSFAシステムは、業種を問わず引き合いが強い。今年7月には、営業担当者や技術担当者を取り混ぜた携帯電話専門のプロジェクトチームを組織し、携帯がらみの案件を迅速に切り分けられる体制をつくった。今後、本格的な外販を始める」と意気込む。

 J-フォンなど通信事業者からの協力を取り付けたことも追い風になっている。(安藤章司)
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