元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ> 第7回 大崎コンピュータエンヂニアリング(下)

2002/08/12 16:04

週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載

通信コスト削減に貢献

 大崎コンピュータエンヂニアリングの通信事業は、もともと、1960年代、千葉県の京葉工業地帯の埋め立てに関する電話設備や計装設備(工場で生産設備を制御・計測する通信ネットワーク)を受注したことから立ち上がった。

 今でも、千葉県の製造業を中心としたLAN敷設やVPN関連の受注が多い。

 武田健三専務取締役は、「通信案件で重要なのは、顧客の通信コストをどれだけ下げられるか。ここのポイントさえ外さなければ、顧客満足度は必ず上がる。特定の通信キャリア(通信事業者)のサービスを販売するのではなく、複数のキャリアのサービスを比べ合わせ、いちばん安い組み合わせでネットワークを組むことが大切」と指摘する。

 同社は、NTTやKDDIなどのサービスを販売すると同時に、価格競争を仕掛けるフュージョン・コミュニケーションズのIPネットワークも積極的に取り込む。特定のキャリアに依存せず、「いちばん安いサービスを選び出すのも重要な仕事のひとつ」と考える。

 通信コストを下げるもうひとつの要素は、音声電話のIP化(データと音声の統合)である。生産工場と国内営業所、海外拠点など、まずは社内あるいはグループ企業内での通信で、IP化の動きが一気に加速すると見られていた。事実、データと音声のIP化を進めれば、通信コストは下がる。

 しかし、通信キャリアの施策が激変するなか、企業のIP電話導入は、一概に進んでいるとは言えないようだ。

 「拠点間をVPNで結んだのち、本来はこのネットワークに音声を流すことで電話代を節約するIP電話の商談が進むはずだった。しかし旧来の通信キャリアとIP系の通信キャリアとの価格競争が激化、さらにマイライン競争で値段が大幅に下がった。これまで高価だったATM回線でもIP網と匹敵する価格に下がるケースもある」

 データと音声を統合することによる価格利便性が一時的に薄れる現象が起きた。

 例えば、01年にある顧客企業が国内5拠点を結ぶIP電話システムを導入した。このことで通信費全体の2-3割のコスト削減を達成。だが、通信キャリアの“底なし”に近い値下げ競争で、結果的にIP電話を導入しなくても、「どの企業も自然に2-3割のコスト削減は達成できてしまう環境ができあがってしまい、IP電話への熱が一気に冷めた」と話す。(安藤章司)
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