元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第6回 大崎コンピュータエンヂニアリング(上)

2002/08/05 16:04

週刊BCN 2002年08月05日vol.952掲載

住基ネットに期待

 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)は、あるていど目的がはっきりしてきたが、このインフラの上で動かすアプリケーション(業務システム)を、どう自治体に向けて切り込むかが課題――。千葉県市川市をはじめ、千葉県域の自治体に強い大崎コンピュータエンヂニアリングは、住基ネットの次ぎに来る商談に期待を高める。

 同社は、昨年度(01年12月期)約85億円の売り上げのうち、約6割が自治体、約4割がLAN構築など通信系の売り上げが占める。武田健三専務取締役営業本部長は、「住基ネットは、自治体同士を結ぶ基幹回線に過ぎない。この“線”のうえで動く業務アプリケーションの構築が、今後の主戦場になる。このインフラを使って、どのような住民サービスを構築するのかが課題だ」と話す。

 住基ネットは、例えるならば、全国1200か所以上あるNTT電話局舎を電話線でつないだという段階。これから、電話局の周囲にある民家や企業に“ラストワンマイル”(アクセス網)を張り巡らし、実際にサービスを受けられるようにしなければならない。だが、住基ネットは閉じた役所間のネットワークであるため、市民が直接利用できるサービスに仕立てるには、もう一歩進んだ仕組みが必要。

 武田専務は、「各自治体とも、今はとりあえず住基ネットにつなぐことに神経を集中している。住基ネットにつないだあとは、段階的にこれまでのクローズなシステムからオープンで互換性の高いシステムへの移行が進む。だが、自治体はオープン環境における運用ノウハウがない。そこでASP(遠隔でアプリケーションサービスを提供する仕組み)などの運用管理をアウトソーシングする仕事が増える」と語る。

 「この段階までくると、ようやくほんとうの意味の住民サービスの原型が現れる。基幹系である住基ネットや税務システムの上に乗る形で、情報系のCRM(市民向け情報サービス)システムの需要が新しく生まれる」と、ここ2-3年は、段階的に自治体の情報投資が活発化すると予測する。

 同社は、市川市の基幹系を富士通製の大型コンピュータで請け負っている。また、約10自治体に情報システムを納品するなど、間接的に関わる案件も含めれば、約30自治体の顧客をもつ。今年度(02年12月期)は、自治体からの受注が好調だったため、売り上げは前年度水準の85億円、経常利益は3億円を見込む。(安藤章司)
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