視点

無線化時代の課題

2002/07/22 16:41

週刊BCN 2002年07月22日vol.950掲載

 無線LANの利便性に着目して、空港、店舗、駅、街角などに「ホットスポット」といわれるインターネット接続サービスの場が提供されるようになった。このような場所に、提供者側がアクセスポイント(無線LANの親機)を設置することで、ユーザーは、無線LAN機能(子機)をインストールしたノート型パソコンなどでインターネットアクセスを行い、Eメールの送受信やウェブサイトの参照などができるようになる。ほとんどの場合、設置者はサービスの一環としてアクセス料金はとらない。一方で、本紙でも報じられたように、無線LANのセキュリティの甘さが指摘されるケースも多い。

 無線LANのセキュリティ対策としては、SSIDにおけるANYの禁止、MACアドレス制限、WEPによる暗号化(128ビットブロック暗号が望ましい)、認証キー(ハードウェア、ソフトウェア)によるアクセス制限などが適用されている。重要情報を無線システムを介して通信する場合、セキュリティ意識の高いユーザーは、さらにVPNによる高度な暗号化方式を用いている。しかし、最近「ウォー・ドライビング」と称して、セキュリティ設定がなされていない企業や家庭の無線LANを傍受して楽しむという新手のハッキングが話題になっている。一昔前、ダイアルアップ用のモデムに無差別にアクセスしてハッキング行為をしていた「ウォー・ダイアリング」の無線版ともいえるものである。

 いずれにしても、出入りの頻繁な不特定多数のユーザーに、ホットスポットにおいて無線LANによるアクセスサービスを提供する場合、セキュリティに関するガイダンスは必須である。さらに、多数のユーザが同時に同じアクセスポイントに接続すれば、スループットが低下することも周知する必要があろう。また、場合によっては隣接するホットスポットとの間で電波干渉が生じることも覚悟しなければならない。ユーザーとしても、セキュリティ設定が万全とはいえない状況では、重要な業務情報やプライバシーに関わる情報を無線システムを介してやりとりしないという自衛策が当面必要と考える。
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