元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第4回 アイ・シィ・アール(下)

2002/07/22 16:04

週刊BCN 2002年07月22日vol.950掲載

3年後には売上高30億円へ

 AS/400一筋でやってきたアイ・シィ・アール(ICR)は、オープン化、Java化を推し進める。だが、AS/400(現eサーバーiシリーズ)で培ったノウハウを捨てて、単純にリナックスやウィンドウズに鞍替えするわけではない。オープン環境に移行しても、AS/400の集中処理的な考え方とは異なる“分散処理=クライアント/サーバー型”の領域には踏み出さない。

 井本裕順社長は、「当社は、AS/400型の集中処理型サーバーシステムは、①稼働安定性からくる顧客満足度の高さ、②SI販社のビジネス的な収益性の高さ――この2点を両立するすばらしい仕組み。この領域から出るつもりはない。クラサバ型は、パソコン端末の管理コストやSI販社側の利幅の低さなど、業務システムとしては欠点が多い」と、AS/400型モデルを堅持する。

 この路線上で、まずは今年度末(03年3月期)までに、既存のAS/400用業務アプリケーションのオープン対応を済ませ、04年を目途に自社製の統合基幹業務システム(EPR)を完成させる。製造業および流通業向けに特化し、年商50億円から300億円の企業に売り込む。

 また、プログラムの手直しがいらないプログラムレス方式による開発手法『自動OAエンジン』(仮称)を確立し、ASPサービスの拠点となる開発センターおよびiDC(インターネットデータセンター)の開設準備も進める。

 井本社長は、「例えば、流通業向け販売管理の中核プログラムに『自動OAエンジン』を組み込めば、実装する段階での開発コストが大幅に減る。04年までには流通・製造の各業務アプリの中核プログラムを自動OAエンジン化する。これらはすべてJavaを基盤に開発する」という。

 開発が順調に進めば、先端産業施設「西播磨テクノポリス」(兵庫県)に5000坪(1万6500㎡)の土地を購入、新たに40-50人の技術者を雇用するという壮大な計画を練る。「西播磨テクノポリスには、太い光ファイバーが何本も来ている」と、ASPサービスの開発拠点に最適な環境にあるという。この投資計画は、前号で紹介した今後3年間の開発投資額5億円に含まれていない新規案件である。

 「AS/400式の中央処理型で、端末と中央サーバーをリアルタイムに結ぶ。この路線で、3年後(05年3月期)には昨年度実績の2倍に当たる売上高30億円、経常利益5億円を目指す」と、鼻息が荒い。(安藤章司)
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