変わるかシステム入札
<変わるかシステム入札 第二章>ガートナー ジャパン(上)
2002/07/15 20:43
週刊BCN 2002年07月15日vol.949掲載
自治体間での格差
――電子自治体への取り組みに関して、調査レポートを出されていますね。中野 私どもと、ぎょうせい、価値総合研究所とで、電子自治体共同研究会として調査を実施しました。その調査結果について、今年2月に開催したセミナーの席上、「電子自治体に対応可能な自治体は3.5%」と発言したところ、その数字の低さが話題を呼んでしまいました。
――なぜ、それほど対応が遅れているのでしょう。
中野 実は調査のなかで、電子自治体がデジタルデバイドの格差を広げる契機となる可能性があるという懸念を、多くの自治体がもっていることがわかりました。電子自治体では、三重県や横須賀市などの先進的な事例が紹介されています。しかし、各自治体の担当者は、こうした先進自治体の取り組みは自分のところではとてもできないと感じてしまうようです。
その原因は3つ指摘できます。1つは情報量の格差、2つ目は人員がいないこと、3つ目は資金不足です。
また、先進自治体にはブレーンとして協力できるベンダーがいるケースが多いのですが、地方の小さな町村レベルではブレーンをもつことも難しい。
――小規模な市町村では電子自治体の実現は無理という結論になってしまいそうですが。
中野 電子自治体共同研究会では、「バーチャルな広域自治体」を提言しています。
今、市町村合併が進んでいます。ところが情報システム面で見ると、各自治体で異なるベンダーのシステムが動いているため、統合が難しいケースが少なくありません。そこで、ハード面ではなくシステム面だけ統合する「バーチャル広域自治体」を提言したのです。
例えば原子力発電所をもつ町村同士であれば、それぞれが離れていても情報システムだけ統合するのが望ましいのではないかという提言です。
――共同で電子化実現を目指すのであれば、規模の小さい市町村でも対応が可能になると。
中野 そうです。電子自治体では業務効率の改善に焦点があたりがちですが、住民サービスの向上も重要な課題です。住民サービスの向上は、規模の大小を問わず自治体には必要なことではないでしょうか。
(三浦優子)
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