WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第112回 社内での地位高いCIO
2002/07/08 16:04
週刊BCN 2002年07月08日vol.948掲載
高額報酬で優遇
米企業の多くは00年までのネットバブルに躍った結果、IT設備が過剰となり、01年にはIT投資調整を急ぎ出した。それと同時に世界的経済低迷により米企業ではITのROI(投資効果)が厳しく追求され始めた。01年米企業のIT投資はピーク時00年より14%も削減され、米国IT不況を加速している。ROI追求が厳しくなったので、CIOのリポート相手としてCFOの割り合いも上昇しているようだ。
さて一般的に社内の地位と報酬は大きな関係がある。同調査によると、CIO報酬額は会長、CEO、社長、CFO、CTO(最高技術責任者)に次ぐ高額となった。ボーナス、利益配分を除く平均サラリーは01年、CTO14万3802ドル、CIO14万184ドルでこれにIT担当副社長12万5375ドル、チーフアーキテクト10万4873ドルが続く。
一般的な副社長クラスの報酬9万8608ドルに比べるとCIO報酬は約40%高額だ。ボーナス平均額はCIOが最も高く3万5188ドル、これにCTO2万1955ドル、IT担当副社長1万5053ドルが続く。従ってCIOのボーナスを含む年間報酬は17万5372ドル(2192万円)であり、平均的管理職年俸8万ドルに比べると2倍以上となる。
これだけ優遇されるCIOであるが、IT予算削減時期にはつらいことが多いようだ。米国の中・大企業では9月11日の同時多発テロ以降、企業ITセンターの破壊対策に巨額投資が要求されるなか、多くの企業ではIT予算が10-15%削減された。
一方社内ラインからの新システム開発の要求は次から次へと押し寄せる。このため多くのCIOは社内新システム開発案件の優先順位をつけることに忙殺される。またIT新システムの初期投資、運用費を削減するため多くのIT部門はアウトソーシング利用を活性化している。
しかし、このアウトソーシング業者の選定にもCIOは頭を痛めることになった。00年から01年にかけて米国大手アウトソーシング、ホスティング事業者が次々と倒産し、そのクライアントは多大の被害を受けた。またホスティング委託事業者が倒産したことで、選定責任を追求されて職を失ったCIOも多い。このためCIOはITサービス事業者候補の経営安定度を厳重にチェックする。候補事業者の決算書を取り寄せ、その売掛金発生先にドットコムや経営不振の通信サービスがないかのチェックもCIOは行わなければならない。
一方、経営側ではCIOに適した人材探しが難しくなったとの報告もあり、大手EDSなどはこの人材不足をアウトソーシングで補うことをセールストークとする。(中野英嗣●文)
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