元気印のインテグレータ
<元気印のインテグレータ>第2回 テクマトリックス(下)
2002/07/08 16:04
週刊BCN 2002年07月08日vol.948掲載
医療分野に参入
テクマトリックスは、EC(電子商取引)やBtoB(電子企業間取引)需要の読み間違えの挽回策として、(1)金融、(2)通信、(3)医療市場の新規開拓を掲げた。「これらの分野は、今まさに構造改革が進んでおり、ビジネスチャンスがある」(由利孝社長)と見込んだからだ。この予想は当たり、昨年度あたりから(3)の医療分野で動きが見え始めた。ヒットした商材は、病院で撮影したレントゲン写真などの画像を蓄積するサーバーシステム「セキュアード・ダイコム・サーバー」である。昨年度の医療関連の売り上げは10億円で、前年度比3倍に伸びた。
ダイコム(DICOM)とは、医用デジタル画像および通信に関する標準規格。同社では、規格に準拠しつつ、病院内外からインターネット経由で安全に画像を送受信できるセキュリティ通信機能を加えた。
「国の方針は、中核病院と地域の診療所をネットワークで結び効率化するというもの。放射線設備の整った大病院で撮影した画像を、地域の診療所の医師が参照できる。遠くの大病院に通う患者の負担が減る」と、売り込みに熱が入る。
ダイコム準拠の画像サーバー単体としては、すでに全国50病院に納入した。だが、医療ネットワークも含めた運用は、まだ始まったばかり。「島根医科大学を中心とした先進的な医療ネットワークの構築事例など、少ないながら実現しつつある」という。
医療分野は、これまで大手メインフレーマが医事会計など基幹系システムを中心に売り込んできた。「当社は、大手の基幹系には手を出さず、画像サーバーに特化していく。大手とは異なる発想で医療分野への参入を果たした」と話す。
今年5月には「eジャパン事業開発室」をつくった。企画担当者数人のプロジェクトチームで、中小規模の市町村の電子化にビジネスチャンスを見い出すのが目的。
役所への問い合わせ履歴をデータベース化し、同じような問い合わせに迅速に答えられる仕組み「CRM(市民情報管理)」や、通信のPKI(公開鍵基盤)の認証技術などの得意分野での参入を図る。
「自治体方面における当社の実績は少なく、実際はこの方面に強いシステム販社と組むことになる。だが、商社系システム販社の機動力を生かして、今後とも積極的に成長市場に突進できる柔軟な組織づくりを目指す」と意気込む。(安藤章司)
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