人材流動化の時代

<人材流動化の時代>第2回 あっという間に1万3000人

2002/07/08 16:04

週刊BCN 2002年07月08日vol.948掲載

 リストラ。あまり響きの良いことばではない。強引に首を切られる、というイメージを抱く人が多いだろう。

 しかし、実体はどうだろう。松下電器産業の場合、早期優遇退職制度に1万3000人が手を上げたと言われる。外から見ているとあっという間に集まった印象だ。

 松下ほどの超一流ではない某中堅企業。800人が辞めていったが、内情は、自らの意思と、それほど強引ではないにしても会社側からの示唆にやむなく乗った人の比率はほぼ半々だろうといわれる。

 ある保険会社に勤める知人。「うちで早期退職金優遇制度を導入したら、相当の人間が辞めていくと思う。私も手を上げる」と、リストラ制度導入を待ち望んでいるそうだ。合併して数年経つが、言葉が通じず、人間関係もぎくしゃくしていることに嫌気がさしているのだとか。

 銀行や保険業界などは、まだまだ国の手厚い保護下にある。このような業界でもビジネスマンの意識は確実に変わりつつあるようだ。

 その点、IT産業は国際化がもっとも進んでいる産業のひとつである。表は、経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会が公表した電機メーカーの売上高世界ランキングだ。15社中7社が日本企業である。世界で活躍しない限り、これだけの売り上げが確保できるはずはなく、世界でもまれた人材が多数いる。

 そのことが、リストラ、あるいは人材流動化への抵抗を少なくしている側面もあるだろう。(石井成樹)
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