変わるかシステム入札

<変わるかシステム入札 第二章>フューチャーシステムコンサルティング(上)

2002/07/01 16:18

週刊BCN 2002年07月01日vol.947掲載

 今年1月に開催された(社)日本コンピュータシステム販売店協会の新春セミナーで、フューチャーシステムコンサルティングの金丸恭文社長は、「官公庁入札の現状を変えるために1円入札をすることも考える」と発言し、大いに会場を沸かせた。金丸社長がそんな発言を行ったのは、現状の官公庁のIT入札にどのような問題を感じたからなのか。

IT専門家が不在

 ――金丸社長が官公庁のIT入札に問題を感じたのはいつ頃ですか。

 金丸
 正確に時期は覚えていません。ただ、残念ながら日本は民間企業でもIT投資に対しマネージメントが杜撰な面がある。コスト面での問題が表面化しにくい官公庁は、民間よりトラブルが多いのではないかと危惧したのが最初だったと思います。

 ――実状を聞いて、最大の問題点をどこだと感じましたか。

 金丸
 官公庁にITの専門家が不在である点です。専門家を外部から呼ぶ場合も、発注を受ける企業が専門家として意見を述べるケースが多い。それではサッカーの審判を自分のサポーターから選ぶのと一緒で、公正な判断はできにくいと思います。

 ――そのあたりに憤りを感じて、「1円入札をやることもあり得る」という発言が飛び出したわけですね。

 金丸
 (笑)本当に1円入札をやると決定したわけではないんです。ただ、日本人としてこのままでは本当によくないという気持ちがあることは確かです。

 最近、中国の優秀な人と話すと、「日本のようにはなりたくない」という意見が出てくるんです。日本人が悪いお手本になってしまっているようで、非常に残念だし、悔しいことだと思います。

 ――日本をよくするために、官公庁のIT入札はどう変わるべきでしょう。

 金丸
 問題点として、責任者が不在であること、効果がなくても許される仕組みであること、発注と施工を同じ業者が担当すること、旧通産省のつくった資格を保有するスタッフが必要なことなどがあげられます。

 資格問題ですが、日本の国の資格よりも、海外ベンダーの資格の方が残念ながら実効がある。資格をひとつの判断基準にするのはわかりますが、マーケットの市場原理と異なる資格が必要だとすることで、逆に技術の先進性が失われることになる場面も出てきます。

 もし、国の資格を利用するというのであれば、世界中の技術者が取得したいと思えるものへ成長させるべきではないかと思います。日本だけで通用する技術は、IT業界では成立しないのです。

(三浦優子)

【略歴】
金丸恭文社長(かねまる・やすふみ)
1954年、鹿児島県生まれ。78年神戸大学工学部卒業後、TKC、ロジック・システムズ・インターナショナルなどを経て、89年にフューチャーシステムコンサルティングを設立、代表取締役社長に就任。
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