元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第1回 テクマトリックス(上)

2002/07/01 20:29

週刊BCN 2002年07月01日vol.947掲載

 システム販社は、独自のソリューションで伸びる――。利幅が薄いハード販売はもとより、ソフト開発においてもパッケージに負けてしまう時代だ。メーカー系列の特約店でさえも、ここ10年来、売り上げに占めるハード比率を下げるのに力を注いでおり、「ハード比率を2割以下に減らした」と胸を張る販社も珍しくない。  では、どうソリューションに取り組み、どこで収益をあげるべきなのか。伸びる販社はどこが違うのか。  この連載では、独自のソリューションで伸びているシステム販社を紹介する。第1回は、商社系システム販社の強みを生かして、自治体市場への参入に力を入れるテクマトリックス(由利孝社長)の取り組みに焦点を当てる。  

EC分野からスタート

 日商岩井の情報産業部門が独立したITX(横尾昭信社長)が、2000年にニチメンの情報関連子会社5社を買収した。このうちの1社がテクマトリックス(旧ニチメンデータシステム)である。

 同社は、ECサイトの楽天市場の草創期からシステム構築を手がけ、早くからEC分野でのノウハウを積んだ。楽天が同社の実績を認めて01年に出資。楽天は、テクマトリックスの約37%の株式を取得している。親会社のITX(約61%)に次ぐ株主だ。

 だが、大きく伸びると見込んでいたECやBtoB(ネットを使った企業間取り引き)が頭打ちになる。由利社長は、「楽天のように成功するECベンチャーは、数えるほどしかなく、クリック&モルタルで収益をあげるECも少ない。厳しい市場動向を受けて顧客のEC投資が鈍り、当社の事業計画に、大きな誤算をもたらした」と振り返る。

 このECの落とし穴の煽りを受け、昨年度(02年3月期)の売り上げは前年並みの50億円。利益はトントンといった業績だった。「今年度(03年3月期)は、本来の目標である売り上げ60億円、経常利益3億円を目指す」(由利社長)と、業績回復を宣言する。

 回復に向けて、まずテコ入れをしたのが、(1)米国の最新技術を導入した独自のソリューション開発、(2)これまで手つかずだった官公庁分野への進出、(3)医療分野への営業強化の3つだ。

 (1)は、商社系システム販社の強みを存分に生かせる分野である。また(2)に関して、官公庁向けの営業を推進するプロジェクトチーム「eジャパン事業開発室」を今年5月につくった。

 次回では、さらに具体的な取り組みを紹介する。(安藤章司)
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