視点
デジタル時代の法制度とは
2002/06/10 16:41
週刊BCN 2002年06月10日vol.944掲載
最高裁判決は、ゲームソフトが「映画の著作物」であり「頒布権」があることを認めたものの、家庭内での視聴を目的とし、大量に製作されているゲームソフトの場合は、劇場用映画のように公衆に提示することを目的としていないため、一旦適法に譲渡された時点で権利が消尽する、という判断であった。中古ゲームソフト販売の問題点は、新品と中古品の内容が質的に全く同一であるにも関わらず、同じ店舗で並んで販売され、中古市場が新品市場を圧迫するまで増大しているという点にある。この状態はゲームメーカーの正当な販売機会を奪うばかりではなく、デジタル著作物の権利のあり方そのものにかかわる重大な問題ととらえ、ACCSは長年にわたりゲームメーカーを強力に支援してきた。
今回の判決により、デジタルコンテンツの中核ともいえるゲームソフトの著作権保護について現行法が対応できていないことが明らかになったといえる。また、判決に関する報道のなかには、ゲームソフトや映像ソフトの「上映」や「貸与」も権利者の許諾なくできるという誤解を呼ぶ内容があった。そのため(社)映像ソフト協会と(社)日本映画製作者連盟の2団体が緊急で報道機関向け声明を出し、「映像ソフトのレンタル業務や、不特定の人に視聴させる上映を行うには、著作権者の許諾が必要であることに何ら変わりはありません」と釘を打っている。今回の判決は、コンテンツ産業への多大な影響が懸念される。e-Japan構想のもと、IT立国を目指すのなら、デジタル時代にふさわしい法制度やビジネスモデルを早急に整える必要がある。
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