進化するECビジネス

<進化するECビジネス>日本メタルサイト 金属業界における日本最大のECサイト 他社との連携で拡大

2002/06/03 16:18

週刊BCN 2002年06月03日vol.943掲載

 日本メタルサイト(石原将社長)が運営する金属業界のECサイト「メタルサイトジャパン(MSJ)」が750社の会員数、1000IDに達した。同サイトは、00年9月に情報サイトとしてサービス開始。開始当初は200社程度だった。00年12月からカタログ販売を開始して以来、見積サーチ機能やオークション機能を取り入れ、本格的なECサイトとして展開する。同社では、他社サイトとの連携でサイトでの取り引きの活性化を図る。

サイト上の取引活性化に向け積極的に他業種サイトと連携

 日本メタルサイトは、昨年末から他社との提携に積極的だ。石原将社長は、「サイトでの取り引きを活性化させるためには、他社サイトがもつコンテンツを活用し、MSJのサービスを充実することが重要」と話す。同社は、建設業界のeマーケットプレイスを提供しているコンストラクション・イーシー・ドットコムと昨年12月に提携した。これにより、鉄鋼関連の建設資材を必要とするコンストラクション・イーシー・ドットコムの買い手会員は、「建設マーケットプレイス」のサービスを介して、見積依頼を発信。その見積依頼情報がMSJを経由し、「見積サーチ」サービスを活用するMSJの売り手会員に送られる。これに対する見積回答は、再びMSJを経由し、「建設マーケットプレイス」の買い手会員に送信される。

 また、大阪商工会議所が運営する全国の中小企業向けBtoBサイト「ザ・ビジネス・モール」とも提携。「ザ・ビジネスモール」を経由して日本メタルサイトに入会した場合、「見積サーチ」の利用料を10%値引く。この提携は、中小企業の活性化を目指す商工会議所と、eマーケットプレイスの活性化を図るという日本メタルサイトの意見が合致した結果だ。今年に入ってからは、5月21日に日立製作所が開発した金属材調達サイト・間接材調達サイトとMSJを連携する。日立が提供するコンテンツは、図面情報をウェブに取り込んだ受発注用の切板調達システムである「e-MACS」と、事業所で使用する副資材事務用品購買サービス(MROサービス)。

 「e-MACS」は、発注企業が作成したCAD図面と発注仕様をウェブにアップロードし、受注企業がウェブからCAD図面と発注仕様を取りこむ。CAD図面の作成が不要になることが特徴だ。公開見積、受発注から請求業務まで管理できるので、業務のスピードアップや効率向上が図れる。そのため、今までのECサイトで不可能だった製品の詳細情報の授受も可能となる。MROサービスでは、MSJの会員企業が副資材事務用品を比較的安価で購入できる。こうした取り組みは、金属業界の取引形態に新しい流通経路を創出し、業界の活性化につなげることが狙い。MSJの会員数は750社。50人前後、年商10-20億円の企業が大半だ。石原社長は、「金属業界の国内市場規模は、取引量で約1億5000トン。将来的には、MSJでの取引ターゲットとして約5000トンを目指す」と闘志を燃やす。

業界の中核企業が出資中小企業の視点に立つ

 日本メタルサイトに出資している企業は、伊藤忠丸紅鉄鋼、住友商事、川鉄商事、丸紅、エヌケーケートレーディングの5社。鉄鋼・金属業界の中核企業が株主として名を連ねている。石原社長は、「金属業界はeマーケットプレイスに注目しているため」としており、「金属業界全体のBtoBを底上げするには、中小企業の視点に立ち、さまざまなサービスやサポートの充実を図ることが重要だ」と強調する。そのためMSJは、会員が自社の業務内容にあわせ機能、サービスを自由に組み合わせて利用できることを最大の特徴としている。

 MSJでは、「カタログ販売」と「見積サーチ」、「オークション・逆オークション」の3機能を取り引きの主流としている。カタログ販売は、売り手が在庫情報をカタログとしてMSJに掲載、買い手が購入したい商品をカタログのなかから検索できる。見積サーチは、買い手が商品の品種や数量、サイズ、地域などを入力して売り手を検索するもの。買い手は、該当する売り手のなかから見積価格を比較できる。売り手は、販売したい商品や供給できる商品を事前に登録するだけ。業務の効率化につながる。オークション・逆オークションでは、余剰在庫を短期間によい条件で商品を売却したい売り手と、緊急によい条件で購入したい買い手を結ぶ。金属関連のECサイトで国内初のサービスである。

 サイトでの決済や与信は、総合リース業を手がけるオリックスの「金融サイト」を提供。物流は、川鉄物流、住友金属物流、日栄運輸倉庫の3社が担当する。サイトの利用料は、売り手と買い手双方とも月額5000円。年間契約の場合は年5万円となる。また、サイトでのサービスやサポートに加え、各会員企業にソリューションを提供することでビジネスの拡大を図っている。具体的には、パソコンやプリンタの設置からLANの構築、ADSL回線の接続、ホームページ作成といったIT構築サービス、取引環境に応じたコンサルティングなどのサービスを行う。同ソリューションサービスは、富士通との提携で実現した。石原社長は、「BtoBに対応するには、各企業に合った環境が必要となる。会員企業のIT化を推進していく」と意気込む。
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外部リンク

日本メタルサイトhttp://www.msjc.com/