視点
IT資格再考
2002/04/08 16:41
週刊BCN 2002年04月08日vol.936掲載
(1)ITコーデイネ-タ
(2)Linux資格
(3)プロジェクトマネジメント資格の3つの話題が取り上げられた。
持論の繰返しになるが、「創造性談義」や「学力低下論争」のような似非問題の不毛な論議に陥らないために、IT人材育成の議論にある背景・文脈を整理しよう。
まず、ITというワーディングに日本文化発信型ITの含みがなく、米国追従型の意味しか込めない議論は、まずダメとしたものだ。
また、「教育」を知識や狭義のスキルに限定し、実務能力や演習・作法を取りこんでない認定資格など、犬にくれてやればよい。
第3に、日本文化発信についてまわる国際交流語の習得を顧慮しない議論もIT職業人には無縁である。
そして第4に、認定に必要なスキルをどう習得できるのかという学習法(ペダゴギー)を含まない論議もいかがわしい。
リテラシーやリベラルアーツを顧慮しないカリキュラムは益体もないというほかはないのだ。
日本におけるITエンジニアの基本的素養は、端的に次の3つに尽きる。
(1)国語とは異なる、日本語作法
(2)英米語とは異なる、国際交流語作法
(3)皮相的な還元主義による西洋論理とは異なる、日本文化に根ざした論理的思考作法
(1)は、名詞と動詞(あえてつけ加えれば、接続詞)からなるプログラミング言語という人工言語を、俳句や短歌とは異なる文脈で理解する能力である。
(2)は、英語が読めない・書けないITエンジニアは先端技術に18か月遅れるという現実、日本発信のソフトウェアは英米語でやらざるをえないという必要悪に対する対処である。
(3)は、米国追従路線のようなトラウマを引きずった皮相な還元主義的論理を打破する際、基礎となる思考法である。
少なくとも、この3つの素養を顧慮しない議論はいかがわしいというほかはない。
というのも、学習法抜きの、つまりラーニングスキル抜きの学習談義は遂に不毛に終わるほかないからだ。
以上の文脈をしっかり取り込んだ認定資格については、別途展開しよう。
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