大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第27話 自動車産業の中心地が中国になる日

2002/04/01 16:18

週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載

自動車産業の中心地が中国になる日

 もう少し自動車の話を続ける。

 現在、どんな産業が伸びるか、ということがよく話題になる。基本的に言えば「インタラクティブ産業」とでも呼べるものが伸びている。「インタラクティブ」とは、使う人が参画できる、相互作用のできる産業ということだ。現在のテレビは一方通行でインタラクティブではない。これをどうインタラクティブにするか、とういのがテーマのひとつとなる。パソコンはインタラクティブ商品であるが、その最たるものは「自動車」である。

 自動車を買っても、ガレージにおいておくだけでは「ウドの大木」である。図体だけ大きくて役に立たぬ。休日ともなると人々はこの大木を動かすことに熱中する。時には時間をかけて洗い、化粧をする。懇切丁寧に磨き上げる。これが楽しいのだ。なかには、この大木を飾り立てる者もいる。時として奇声をあげるようマフラーを変更する人もいる。ただしこれはいささか他人迷惑である。このように自動車はきわめてインタラクティブである。洗濯機やテレビを磨き上げて嬉しい、という人物にはお目にかかったことがないから、この点自動車はユニークな存在である。永遠の成長産業といわれる所以だ。

 さて、中国である。現在すでに中国では自動車がつくられつつある。かつて、40年前の日本とよく似ている。いずれ、中国が世界市場に入ってくるのは時間の問題である。しかも中国はこれを国家の事業として取り上げようとしている。長江ダムの建設は水位を約100メートルあまり上げ、重慶で造られているであろう自動車を水路によって世界各国に輸出しようという遠大な計画に基づいている。こうして、現在の中国西部が世界の重工業、とくに自動車産業の中心となることを意しているのだ。「危ういかな、日本」と言わざるを得ない。(山形県・上山温泉にて)
  • 1