WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第99回 アウトソーシング市場
2002/04/01 16:04
週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載
伸びは年11.2%
米インフォワールド誌は、01年米企業のIT予算に占めたアウトソーシング比率別の割合を米大企業CIOの調査によって発表している。これによると、アウトソーシングを利用していない米企業はわずか3.0%であり、アウトソーシング費用の割合別の企業比率は次の通りだ。(1)10%以下…21.2%、(2)10-20%…42.5%、(3)21-50%…30.3%、(4)51-75%…3.0%、(5)76%以上…0%。これによると、米企業の76%はIT予算の10%以上をアウトソーシングに向けており、3分の1は20%以上をアウトソーシングに投入している。米国においては、アウトソーシングなしには企業のIT利用を論じることができなくなっている。とくに01年9月の米同時多発テロ以降、米企業のIT予算配分の最優先課題は、テロによるデータセンター破壊対策となっている。
データセンターの多重化は自社だけでは不可能なこともあって、米大企業は金融機関を中心に自社データセンターのバックアップとして、IBM、EDSや大手通信事業者の運営するiDC(インターネット・データ・センター)を活用することが当たり前になってきた。しかし、エクソダスの倒産もあって、経営基盤の弱い新興iDCの人気はきわめて低い。同誌はさらにどのような業務をアウトソーシングしているかも調査し発表している(重複解答)。圧倒的に比率が高いのはアプリケーション開発で、アウトソーシング利用企業の40.0%がこれを実施している。
これに次ぐのがウェブサイトの運用やeコマースで30.0%、ネットワーク運用が26.7%、コールセンターが16.7%、ネットワークセキュリティ管理が10.0%と続く。またiDC利用を含むホスティング(運用管理)サービス利用も30.0%ときわめて高くなっていることにも注目したい。これはテロ対策のために急上昇している。メリルリンチは、世界経済が回復しても、企業はIT資産の保有やIT要員の育成には興味を示さなくなったため、企業のITアウトソーシング利用の熱がさめることはなく、年々アウトソーシングは隆盛に向かうと解説している。(中野英嗣●文)
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