Skill upへの挑戦 これからのIT人材育成

<これからのIT人材育成>第12回(最終回) ITプロフェッショナルスクール

2002/03/25 16:18


■100コースを用意へ

 受講者の大半は、実際のビジネス現場で働くエンジニア、あるいはエンジニアを志望する就職希望者である。

 受講者が即戦力として働けることを目的にした教育システムの構築が主眼であり、講師の陣容には、システム開発や設計の現場経験を備えたエンジニアを配している。02年度中に100コース体制を確立する予定だ。

 コースの設定は、個人のスキルや将来的なキャリア像に基づいて作成される。

 例えば、ネットワークセキュリティ講座でネットワーク管理者や情報システム担当者が、情報システムセキュリティの全体像から具体的なIISの構築までを学ぼうとする場合、まずは「情報システムセキュリティ 全体像の把握と強化はやわかり 半日講座」を3時間受講する。その後、「Linux不正アクセスの手法と防御講座」を12時間、最後に「セキュアウィンドウズ IIS構築講座」を12時間受講する、というコースになる。

■キャリアアップを支援

 そもそも、個人のライフプランに合わせたキャリアカウンセリングとは何をするのか。このカウンセリングは、企業が自社の人材のキャリアプランを構築する際と同様の手法がとられる。

 まずは目標設定として、何歳までに、どの程度の年収を目指すのか、どの地域で働くのか、正社員にこだわるのか派遣社員でいくのか、個人事業主も選択肢に入れるのか――など、中・長期的なライフプランを検討し、個人個人にとってのキャリア構築を支援するためのカウンセリングから始める。

 その後、目標到達に必要な技術力、経験、実績などの要件を洗い出し、現在のスキルレベルを診断。目標と現状とのギャップを埋める戦略的な学習プランを作成する。学習プランは、実際にどの講座を、どのような順番で、いつの時期に受講するのか、といったスケジュール作成を指す。

 馬場事務局長は、「ITを学ぶことで、就・転職の可能性を産業界のあらゆる企業に広げることができる」という。

 講義受講中、あるいは終了後、必要であれば就職や転職に関する相談を人材派遣会社などがバックアップする仕組みになっている。具体的には、パソナおよびアイテット(旧パソナソフト)と、スキルレベル判定に関する情報交換を定期的に実施している。

 このような企業向け、社会人向けIT人材育成のノウハウを活かし、学生向けコースも開設した。いわゆる専門学校だ。カリキュラムは昼2年制で、「ウェブデザインコース」、「ウェブプログラマコース」、「ネットワークエンジニアコース」、「システムエンジニアコース」、「パソコンスペシャリストコース」の5コース。加えて、新たに短期集中資格取得コースとして、昼1年制コースも開設した。

 受講者のうち、約半数は企業からの研修者で、法人契約が約半数を占める。確かに、ビジネス面で見れば、法人の一括契約は重要だが、今後、学生など個人レベルの受講数も拡大していく見込みにあるという。(終わり)