WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第98回 サン、ついにLinux陣営へ

2002/03/25 16:04

 サンはこれまで自社OSのSolarisも自社チップSPARCだけのシングルアーキテクチャを強調して、数十種のOSを使うIBMを激しく攻撃し、企業データセンターからIBMメインフレームを追放することに全力を傾けてきた。このサンが遂にシングルOS戦略を放棄して、SolarisとともにLinuxもOSに加えることになった。サンは02年2月にインテルチップx86にLinuxを載せたサンブランドサーバーを発売する計画を公表した。

シングルOS戦略を放棄

 サンはこれまでアプライアンスサーバーのコバルトを買収して以来、コバルトをサンの一部門としてコバルトブランドのLinuxインテルサーバーを販売してきた。サンのスコット・マクネリ会長は「LinuxはUNIXであるのでSolarisと親類だ。従ってLinux普及が進んでウィンドウズシェア拡大が阻止されることを支援する」と繰り返し述べていた。しかし、サンのハイエンド、ミッドレンジUNIXサーバーを使うユーザーにも多くのウィンドウズ、Linuxのインテルサーバーが導入された。サンは自身でもSolarisとLinuxの混成システム構成をしなければならない。

 そこでサンはコバルト系列とは別に、サン独自Linuxサーバーをx86ベースで開発することになった。同時にネットスケープと共同開発したアプリケーションサーバーiPlanetのLinux版も開発し、ウェブソフトのフレームワーク「Sun ONE」もLinuxベースで使えるようにする。サンは同時にLinux開発コミュニティへSolarisやSPARC技術を提供すると説明した。サンSPARC上のLinux開発は中断しており、今回改めてSPARC Linuxを開発することになった。

 従って当Linuxが完成すれば、サンはLinuxインテルサーバー販売を停止し、SPARCサーバーでSolarisとLinux双方をサポートすることになると、多くの米ITアナリストが予測する。サンのエド・ザンダー社長は「サンは自社の豊富なサポートツール、プロフェッショナルサービス技術をLinux市場にもち込んで、当市場で独自の存在感を強化する」と抱負を述べた。サンの業績は、主力市場のドットコム、またドットコムを主力顧客として多数誕生したITサービス会社の崩壊により低迷が続き、01年6-12月売上高も前年同期比で40%以上も落ち込んだ。

 サンは最上位のSolarisサーバー「スターキャット」の拡販と同時に、大量の低価格Linuxサーバー販売によって業績回復を狙う。サンはJavaに関してはIBMや富士通と盟友関係にあるが、両社とはUNIXサーバーでは激しく競合している。しかしIBM、サン共通の競合者はマイクロソフトだ。「このためマクネリ会長はサンがLinuxにも注力するようになれば、Linux強者のIBMと手を組んでウィンドウズ阻止戦略も推進しやすくなると考えたのであろう」と、ある米国ITアナリストは語った。

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