大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第25話 日本は三等国に?

2002/03/18 16:18

水野博之 大阪電機通信大学 副学長

 ことは政府政党だけではない。民間もまた大激震に見舞われている。

 自動車と並んで産業立国を支えていたエレクトロニクス分野が大揺れに揺れているのだ。よもや、と思われていた会社まで大赤字の決算。1年前までは政府、学者、評論家、国を挙げてIT振興によって、景気復活間違いなし、とのご託宣であったが、こうなってくるともう誰も「知らぬ顔の半兵衛」で、「ITによる日本復活」のスローガンもどこかに消えてしまった。

 ITのように変化の速いものを、かつての成功パターン通りにキャッチアップしようなんてどだい無理な話だ、と言って歩いたのだが、その頃は皆ひどいIT熱にかかっていて、そこは均一雷同国家だ。誰も耳をかさない。結果は1年も経たないうちに無残にも明らかになった。今度は手の平を返したように、皆他人事みたいに「ITバブルの崩壊だ」とわめいている。

 こうなってくると、もう何が何だかわからない。無為なままに景気はどんどん悪くなっている。

 景気はそこらじゅうが悪いから、膏薬はりにはことかかないわけで、今度は「金融再生」に目をつけた。「それ、日本の復活は金融再建以外ない」というのである。こうなると、目をつけられた金融庁は大変で、何とか防ごうとするけど、いけにえの羊だ。

 皆が寄ってたかってあることないこと暴き立てて犯人に仕立てようとするから、とうとう開き直った。「よかろう。何時でも辞める。誰かやってくれ」というわけだ。こうなると、批判はするけど、皆、どんぐりだ。大して知恵があるわけではない。「まぁ、まぁ」ということのようで、甚だ要領を得ない。

 こんなことをやっていたら、最後の砦である自動車産業の没落もまた、時間の問題であろう。そうすれば日本は三等国になり果てるわけで、生活もまたそれ並みになることは間違いない。(山形県・山形市にて)
  • 1