Break it! ソフト流通百景
<Break it! ソフト流通百景>35.シーイーシー
2002/03/11 16:18
真の狙いは企業
シーイーシーは、2000年8月にソフトのダウンロードサイト「ソフトダイレクト・ドットコム(http://www.soft-direct.com/)」をオープンした。スタート時点は、1か月に数本しか売れない時期もあったが、01年3月を境に売り上げが急増。
それ以来、前月実績を更新する売り上げ増を記録している。02年度売り上げ目標は1億2000万円だ。
現在は330製品を取り扱っている。毎週金曜日に会員を対象としたメールマガジン7万通を発行しており、その直後の土曜、日曜に売り上げが集中している。
土日の売り上げ比率が5割となることからも分かる通り、圧倒的に個人ユーザーの利用割合が高い。
しかし、シーイーシーの本業は、コンシューマ向けビジネスではなく、企業向けシステムインテグレーションだ。
では、個人が利用するダウンロードサイトを運営する狙いはどこにあるのか。
「当社の狙いはスタート時点から企業マーケットだ」と、サービス事業本部副本部長兼パッケージソリューション事業部長兼ビジネス推進部長・田口勉取締役は明確に答える。
コンシューマ色の強いサイトを運営する理由について、「BtoBオンリーのサイトを作ると、そのサイトの個性を出しにくくなる。コンシューマ向けにさまざまな商品を揃え販売していくことで、市場動向、ユーザーニーズをつかむことができる。本当のターゲットは企業マーケットだが、それだけを行うのではなく、コンシューマ向け販売も行っていく」と説明する。
今年度は企業向け売り上げの拡大を掲げている。「すぐにということは難しいが、どこかの段階で企業向け売り上げの比率を個人向け販売よりも増加させたい。ダウンロード用商品を揃え、1000タイトル程度にまで拡大させていく計画だが、それ以上は取り扱い製品の数は増やさず、むしろ周辺サービスなど企業ユーザーに必要な商品を拡充させていくことで、ほかのサイトとの差別化と企売り上げ拡大につなげたい」という。
同社では、今後、個人ユーザーだけではなく、企業ユーザーもダウンロード販売を利用していく比率が増加していくだろうと予測する。
「マイクロソフトが.NET戦略でソフトをモジュールとして提供していくことを目指している。当社としても対応ソフトを揃えていく」と、準備も始まった。
3月下旬にはPDA専用サイトを新設する。
ここでも、企業ユーザーの利用を想定する。CRMソフトとの連動などの提案をサイトを通じて行っていく方針だ。
つまり、ソフトダイレクトは、サイトで実際の売買を行いながらも、企業向けビジネスを行っていることをアピールする宣伝的意味合いが強い。
ラオックスのザ・コンピュータ館のように、店頭でありながら法人向けソリューションを紹介する店舗も出てきているが、そのサイト版という見方もできる。
2月15日には、地図ソフトのアルプス社と提携し、PDA用地図データの販売を開始した。
アルプス社側でも、「当社の商品は個人向けと思われがちだが、今後企業向けソリューションを拡大することが狙い」(アルプス社・廣瀬典和社長)と、この点を評価する。
この戦略の成否は、狙い通り法人向け売り上げが伸張していくかどうかで、はっきりと答えが出る。(三浦優子)
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