進化するECビジネス

<進化するECビジネス>リサイクル総合研究所 部品の登録から受発注までこなす自動車のリサイクル

2002/03/04 16:18

 リサイクル総合研究所(永田俊嗣社長)は、翼システム(尾上正志社長)が100%出資した自動車リサイクルの専門会社で、今年2月17日から本格的に事業を開始した。自動車リサイクル関連の企業を対象に、リサイクル部品やリビルト部品の登録、受発注、電子マニュフェストの運用などのコンサルティングを展開している。自動車リサイクル業界は、BtoBを積極的に取り入れる傾向にあり、市場自体も拡大している。業界のBtoBをさらに活性化させるために、標準化推進を目的に同社は設立された。

業界最大のBtoBサイト、在庫量120万点を達成

 自動車リサイクル業界は、2001年の市場規模が950億円。04年には1500億円に達するといわれている。各企業がBtoBに積極的に取り組んでいることが市場拡大の要因である。の背景には、13社の自動車リサイクル関連企業が「A-JAPAN運営委員会」を00年6月に発足したことが大きい。同委員会では、既存の流通の枠を超えたサイト「A-JAPAN NET」を開設し、オープンな流通網を形成した。00年7月には、業界最大のBtoBサイトとして翼システムが「パーツステーションNET」のサービスを開始。パーツステーションNETは、インターネット上にある自動車リサイクル部品の在庫情報の検索やネット上への登録ができる「自動車用リサイクル部品共有在庫ネットワーク」。翼システムでは、リサイクル部品流通における品質向上とリサイクル率の向上を図ることで、業界全体の販路・流通量の拡大と、在庫の共有化・均質化を実現することを目的としている。

 パーツステーションNETにより、リサイクル部品の主要ユーザーである自動車整備工場や板金工場では、顧客の要求により補修費用を安くするような場合、ネット上の在庫から安価なリサイクル部品を簡単に入手できるようになった。また、大量の中古部品を保有する自動車のリサイクル部品商、中古部品専業業者は、パーツステーションに中古部品を登録するだけで、販売先、購入者を獲得し販路を広げることも可能とした。同サイトは、自動車部品のリサイクル率を高める意味でも大きな効果をもっている。経済産業省(旧通商産業省)の「自動車業界統合デジタルコンテンツネットワーク」事業の一環でもあるという。今年2月下旬の時点では、在庫量が120万点で、1日平均で4000-5000個の取引量がある。昨年10月には、リサイクル車両オークションと電子マニュフェストの2種類のサービスを提供する「ELVステーションNET」の運用を開始した。これにより、自動車リサイクル業界では、「ELVステーションNET」で使用済み自動車からリサイクル・リビルト部品を生産(=調達)し、「パーツステーションNET」で流通させる環境が整った。

顧客企業の販路拡大を支援、今年の取引高を380億円に

 インターネットによる流通網の普及には、生産事業者側にインターネットを介した使用済み自動車の適切なリサイクルや適正処理を行うこと、生産されたリサイクル・リビルト部品の登録・受発注が行える情報インフラを構築することが必要不可欠だ。そのため、パーツステーションNET・ELVステーションNETと、リサイクル・リビルド部品の生産事業を結ぶために必要なサービスやノウハウを提供することを目的に、リサイクル総合研究所が昨年1月8日に設立された。そして、約1年間の準備期間を経て、今年2月17日から本格的な業務を開始した。永田社長は、「当社の事業は、BtoBにおける業界標準を目指すもの」と話す。同社では、生産事業者との間でリサイクルビジネスのパートナーシップを構築し、リサイクル関連情報の提供や情報インフラの構築、ISOを取り入れた経営・人材育成に関するコンサルティングを手がけている。

 事業内容は、ELVステーションNETとパーツステーションNETを活用するための研修トレーニングや、ISOに準拠した運用ルール「QR9000」の導入支援、自動車リサイクルに関するデータや情報の提供、パソコン活用の支援など。開発面では、大阪府、兵庫県、愛知県の3拠点に「テクノセンター」を設置し、人材トレーニングや大口顧客の窓口代行、機能部品テストなどを支援する計画。運用開始は、中部地域が3月、関西地域が5-6月を予定している。同社では、「米国の自動車業界では、市場全体の30-40%がリサイクル業界で占めている。アジア地域では、日本で廃車となった自動車が1年間で100万台輸出される。一方、日本では、リサイクル業界が市場に占める割合は1%未満という状況だ」と強調する。これまでリサイクル・リビルト部品の輸出が少なかった要因として、各企業が輸出するまでの数量を持ち合わせていないこと、販売ルートがなかったことが挙げられる。同社では、パーツステーションNETの在庫により大量の部品輸出を手がける。

 「そのための販路を米国に確保した」という。環境面では、フロンガスなどによるオゾン層の破壊、ダイオキシンやPCBをはじめとする有害物質など、地球規模で環境問題がクローズアップされている。自動車業界については、経産省、環境省が04年4月の施行を目指し、「使用済み自動車の再資源化等に関する法律案」(自動車リサイクル法案)を固めるなど、環境保護を目指した動きが活発化している状況だ。「まずは、パーツステーションやELVステーションを活用する企業を中心とした事業となるが、自動車リサイクル法の施行にともない、確実に需要が拡大する」と分析する。同社では、取引高で02年に380億円、04年に750億円、06年に1200億円を目指す。

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外部リンク

http://www.tsubasa.co.jp/