視点
モバイルメディア時代の光と影
2002/02/11 16:41
週刊BCN 2002年02月11日vol.928掲載
ところで、先日、大学で「モバイルメディア時代の光と影」という課題で自由論述のレポートを提出してもらった。彼らは、中高校生時代が「ポケベル」で、大学生になってから携帯電話やPHSを利用するようになった世代である。
この世代の感覚の鋭さには感心させられた。モバイルメディアの多機能性を有効に利用する方法を次々に考え出している。
例えば、授業の休講をネットバスで予め知ることで、遠くから通学する時間を有効に使えることができたというものである。モバイルメディアの最大の特徴ともいえる。
いつでも、どこでも、だれでも利用できるという「ユニバーサルサービス」のメリットを享受していることになる。
このような光の部分に対して、彼らは影の部分についても気付いており、漠然とした不安も抱いているようだ。
モバイルメディアによるコミュニケーションは、確かに便利だが、一方で「場の共有」というものが希薄になりやすいとしている。これは、今のモバイルメディアが、マルチメディア通信を実現できるようになったとはいえ、聴覚と視覚を手段とするものに限定されているからである。最近云われているように、五感全体にわたるコミュニケーションをサポートすることができないかという問題提起をしている。
モバイルメディアによるおしゃべりの時間が増えて、学生として本来の勉学がおろそかになるのではないかという危惧も抱いているようだ。
このような影の部分は、ことモバイルメディアだけの所為ではない。パソコンやゲーム専用機の普及もその一端を担っているように思う。さらには、学生たちが、もともと対面による議論やコミュニケーションが上手ではないということも要因であろう。
いずれにしても、氾濫する情報を上手くフィルタリングするエージェント機能が実用的なレベルで提供されることが望まれる。毎日、山のように届く電子メールを読む優先順位を付与してくれたり、すぐに返事が必要なメールを選び出してくれたら大いに助かるのだが。
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