WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第92回 iDC拡大戦略
2002/02/11 16:04
週刊BCN 2002年02月11日vol.928掲載
C&W、日本を含めエクソダス資産買収
現在グローバル通信サービスを手掛けるキャリアは通信と一体になってサービスするiDCを世界各地にもつことが必須条件になっている。米国AT&TやSBCコミュニケーションズなどキャリアは自力で世界各地にiDCを多数開設している。またNTTグループのNTTコミュニケーションズも米国3位のiDC「ベリオ」を買収した。ベリオは01年に欧州で20か所近いiDCを新設した。グローバル通信の大手ユーザーは世界各地に企業拠点をもっているので、採用するiDCには世界各地に同一のサービスレベルでホスティングを提供できる体制をもつことが必要となっている。
エクソダスは米国ではIBMグローバルサービスと並ぶトップiDCであった。しかし同社のユーザーの多くはドットコム企業で、その大部分が01年に倒産してしまった。さらに世界的にiDCの面積が過剰になって、01年秋口には世界のiDCスペースの70%が空きであるとも報告された。
このため単にサーバーレンタルやサーバー設置のスペース貸しをするコロケーションサービス価格は破壊状態となって、エクソダス経営に追い討ちをかける結果となった。
C&Wは世界のメガキャリアのなかではiDCなどITホスティング体制整備が遅れており、同社経営陣はこれを取り返すことを急いでいた。C&Wはまずエクソダスより先に倒産した米PSIネットの日本法人を720万ポンド(14億円)で買収することを01年12月に発表した。
これに続いてC&Wはエクソダスのもつ44の開設済みと、4つの未オープンのiDCのうち26か所のiDCを買収したいと申し出た。買収計画の金額は8億5000万ドル(1020億円)という巨額だ。
倒産したとはいえ、エクソダスはホスティングサービスを継続中で3000人の従業員を抱える。そのうちの2000人を引き取ることもC&Wは言明している。現在でも米国にはエクソダスのiDCを利用しているASPやMSP(マネジメントサービスプロバイダ)は多い。
米国では同時多発テロ以降、ITセンターの物理的破壊に対応するため、iDCをバックアップ用に活用する気運が高まっている。
しかし、エクソダス、PSIなど新興サービスが相次いで倒産したことで、米企業は有力メーカー系、メガキャリアなどの経営基盤が安定しているプロバイダを採用の第1条件にする。
エクソダス資産がC&Wに買収されれば、ユーザーも安心して引き続き同iDCを使う。「エクソダス日本拠点とその顧客も買収する」とC&W広報部は語っている。(中野英嗣●文)
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