進化するECビジネス
<進化するECビジネス>コンストラクション・イーシー・ドットコム 建設資材の電子商取引で新しい業界標準へ
2002/02/04 16:18
週刊BCN 2002年02月04日vol.927掲載
取引活性化を図るため、eマーケットプレイスを
コンストラクション・イーシー・ドットコムの設立は00年8月。NTTデータ、鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店、日本オラクルの7社が共同出資した。「大手ゼネコンが共同で出資するというのは異例のこと」と話すのは、同社の石黒義昭常務。「建設業界では、企業間取引がさらに活性化することが課題とされていた。企業が個別に自社のホームページで展開するより、業界標準のeマーケットプレイスを立ち上げることが必要ということで設立することになった」という。「建設マーケットプレイス」のプロジェクトは、00年1月に開始された。石黒常務も00年5月から同プロジェクトに参加。プロジェクトには、各出資会社から建設資材の調達専門家やシステム開発者などが選出され、30-40人の規模だったという。まさに、建設業界あげてのプロジェクトだといえよう。NTTデータのコーディネイト力やIT技術力、大手ゼネンコン5社の建設業務ノウハウや調達力、日本オラクルの海外におけるマーケットプレイス構築のノウハウを集結し、00年12月にサービス開始となった。
サイトでは、建設資機材のリース・レンタルの見積り依頼から、発注、請求、支払いまでの業務を中心に提供。具体的には、バイヤーがゼネコン、サプライヤーに建設資機材の提供や工事などを手がける企業を対象としており、モデル現場に設定された建築物に関して取り引きが行われる。バイヤー、サプライヤー双方とも、取り引きがなかった企業との新規契約や業務効率化を図ることができる点が特徴だ。「現在、14件のモデル現場がある」という。
価格は、ID数によってさまざまだが、バイヤーとサプライヤー双方とも入会金(ID発行手数料)が5万円、月額料金がバイヤー1万円、サプライヤー3000円で2IDを取得することができる。例えば、3000ID取得の場合は、バイヤーが入会金100万円で月額10万円、サプライヤーが入会金100万円で月額3万円。IDを追加する場合は、1ID発行につき手数料が1万円で、月額料金がバイヤーで2000円、サプライヤーで600円となっている。石黒常務は、「建設業界は、70兆円の市場規模、関連企業が約58万社、就業人口が約650万人といわれているが、先行き不透明な経済状況により、02年に市場規模が60兆円を割る状況とされている。このサイトでこうした現状を打破していく」と意気込む。
新サービスの追加で、1300社獲得を見込む
収益源は、会員企業の入会金や月額料金が中心。石黒常務は、「会員数を増やすためには、新サービスで付加価値サービスを提供していくことが重要」と強調する。昨年の12月からは、「新規取引先公募サービス」を開始。自社のホームページで専門工事会社や資機材納入会社の公募情報掲載を行っている企業を支援するもので、各企業の公募情報を同社のサイト上に集約掲示するサービスだ。価格は、応募掲載情報1件につき4万円。会員企業は、無料で自社の公募情報や新規取引先募集の情報掲載が可能。
また、日本メタルサイトと提携し、鉄鋼製品に関わる電子商取引の連携サービスを提供している。このサービスは、鉄鋼関連の建設資材を必要とするバイヤー会員が「建設マーケットプレイス」上で見積り依頼を発信、その見積り依頼情報が日本メタルサイトのサプライヤー会員に送信される仕組みとなっている。「日本メタルサイトとのサービス連携により、建設用鉄鋼製品に関わる電子商取引の市場規模が拡大する」としている。
今年は、企業情報掲載サービス「業界共通業者リスト」を2月中旬に開始する予定だ。既存の会員形態に加え、情報掲載のみを行う準会員という枠を設けた。準会員が自社の営業地域、対応工種、取扱品目、ISO対応状況などを登録することで、バイヤー会員が新規取引先の検索時に有用な建設業界共通の業者リストとして活用できる。準会員の価格は、1年間で3万6000円となっている。「会員数は、02年度末に準会員(約800社を獲得)を含めて約1300社を目指す」と闘志を燃やす。
今後のサービスとしては、「電子認証サービスおよび電子契約にともなう原本性保証サービス」という新しい展開も計画している。これは、01年4月1日に施行されたIT書面一括法と、それを受けて国土交通省が示した建設業法施行規則第13条の2 第2項にかかるガイドラインに対応するもの。同社が「電子認証局」を立ち上げ、発注者とゼネコン・サブコン間、ゼネコン・サブコンと協力企業間での工事請負契約の注文書・注文証書の取り交わしにおいて、電子認証と電子契約にともなう文書・ドキュメントの原本性保証を行う。すでにサービス認可の申請を主務省庁に提出しており、2月中旬から3月をめどにサービスを開始できるよう準備を進めている段階だ。このサービスで、06年度に利用企業数が4000社、5年間累計で約6億円の売上高を見込んでいる。
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