WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第91回 IBMのe-ソーシング
2002/02/04 16:04
週刊BCN 2002年02月04日vol.927掲載
パートナー募集開始
またユーザーがe-ソーシングに期待する効果は、新システムの早期稼働、システムパフォーマンスの向上、ITへのイニシャル投資削減、日常的TCO(所有総コスト)削減、そしてウイルス、物理的破壊、生物化学兵器によるサイバーテロ対策である。とくにデータセンターの物理的爆破や生物化学兵器攻撃によるセンタービル閉鎖に対応するためのセンター多重化は、自社運営だけではコスト高となる。そのため、テロ対策としてe-ソーシングに期待するユーザーが米国には多い。IBMはユーザー実態を把握しているパートナーをe-ソーシング普及に積極活用する方針を決定し、世界的にパートナーを増やすことを発表した。とくにe-ソーシング需要は日本市場で大きいと判断し、千葉県幕張と東京三鷹に世界初のe-ソーシングセンターを01年秋に開設している。IBMはe-ソーシングをビジネス・プロセス・アウトソーシング、リモートネットワーク、アプリケーションマネジメント、ストレージサービス、セキュリティ向上に役立つアウトソーシングと位置づけている。
IBMのe-ソーシング担当テブ・マックハージー副社長は「特定業務や特定業種アプリケーションに十分な経験をもつパートナーがe-ソーシング連合に参加することを望んでいる。IBMは、絶対に故障せず連続稼働する強固なITインフラをパートナーに提供する。このインフラを使ってパートナーはユーザー固有サポートを実施できる。IBMへの料金から毎月手数料をパートナーに支払うことで、パートナー売上高も安定する」と語っている。
IBMはテストケースとして米SIerのソフトソルブと協同して、米テキサス州の州立スクールネットワークのe-ソーシングを開始した。州立220校と3500台のクライアントを結ぶ大システムである。ソフトソルブのアリ・ヨハンCEOは「IBMとの協同作業は順調だ。IBMは全体システムの設計とネットワーク運用とユーザー機器調達を支援する。わが社はユーザーアプリケーション開発とそのアップグレード、教育を手掛ける。わが社の役割は、トータルソリューション提供ではなく、ユーザー満足度を日ごとに高めることに専念すること。e-ソーシングは間違いなくこれからのIT利用の主流になる」と語る。(中野英嗣●文)
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