WORLD TREND WATCH
<WORLD TREND WATCH>第90回 MSの組み込みOS
2002/01/28 16:04
週刊BCN 2002年01月28日vol.926掲載
疑問視される成功
IBMルイス・ガースナーCEOは早くも98年春に、「パソコン時代の終焉(PC era is over)」を宣言し、IBMの軸足をサーバーやITサービスにシフトした。パソコンサチュレーションを一番よく知っているのはマイクロソフト自身だ。マイクロソフトは同社の次世代「.Net」ビジネスでは、(1)パソコン、(2)エンタープライズシステム、(3)コンシューマ、(4)開発者市場をメインターゲットにすることを同社ビル・ゲイツ会長は再三述べている。
このため同社OSも、パソコンやサーバーだけでなくユビキタス(遍在)コンピューティング時代に適合するように組み込み版(Embedded)にも注力するようになった。01年秋リリースした「ウィンドウズXP Embedded)」に加えて組み込み用「CE.NET」をリリースした。この2つの組み込みOSによって同社はユビキタス時代を狙う。
組み込み用XPはシンクライアント、店舗POS、キオスク端末、TV向けSTBを狙う。また「CE.NET」ではポケットPC、次世代携帯電話仕様(開発コード名、スティンガー)などがターゲットと同社は説明している。
即ち、マイクロソフトはユビキタス時代の主力機器の電話、テレビ、携帯機器、店舗端末などすべてを狙う。特に米国同時多発テロ被害に遭った企業のIT復旧で最も苦労したのは、ファイルバックアップが不完全だったり、バックアップ媒体が同一ビルに保管されていたパソコンである。
このため米国でテロによる物理的破壊対策としてファイル機能のないシンクライアントを採用する大企業が増え始めるとガートナーは説明する。とくにミッションクリティカル端末では、システム全体がサーバー指向となり、また外部iDCにサーバー保管されるケースが増えることもあり、クライアント側ソフトのバージョンアップも不要なシンクライアント採用が活発になるとガートナーはその理由を解説した。
このため05年に米企業で使われるクライアントでは、シンクライアント需要が1000万台に近づくとの調査も発表されている。ワイズテクノロジーなどはこの動向を察知してXP Embeddedを載せるシンターミナルを02年春に発売する。また、CE.NETでマイクロソフトは第3、第4世代携帯電話を狙う。しかし携帯電話OSではノキア、エリクソン、モトローラやわが国の松下通信工業などの携帯電話メーカー合弁会社シンビアンのOS「エポック」が強力になり、そのアプリケーションではJavaが世界標準になる可能性が高い。
これまで組み込みOSではパームを追うマイクロソフト仕様PDAが成功しつつあるのみで、ウェブTV、同社OSのセットトップボックス(STB)はことごとく失敗している。携帯電話分野も同社参入は遅すぎると評価する米アナリストは多い。(中野英嗣●文)
- 1