IPO後の財務施策
<IPO後の財務施策>10.スカイマークエアラインズ
2002/01/14 16:18
週刊BCN 2002年01月14日vol.924掲載
今年3月には航空機を現行の2機から3機に増やし、4月から新たに「東京-鹿児島線」が就航する。
さらには国際路線として、韓国を足がかりに、グアム、サイパン、オセアニアなどのリゾート地へと飛び立つ計画だ。
同社は、旅行会社のHISをグループ会社にもっていることで、シナジー(相乗)効果が生まれる事業を展開している。また、1996年11月に設立後、東証マザーズ市場の誕生という追い風を受けて00年5月に株式公開(IPO)した。
そのスタートは、「規制のあるところにビジネスあり」というスタンスで航空業界に飛び込んだ。
93年に東京・羽田空港が沖合いに滑走路を増やしたことから、規制の多かった旧運輸省航空局に対して会社設立後まもなく9枠(18便)の発着枠を要求。「認可を得るために、小型トラック1台分の書類をもち込んだ」(倉重副・社長室広報・IRグループ長)という。
1年後、ようやく「定期航空運送事業免許」が3枠だけ認可され、さらに翌年1998年9月、「羽田-福岡線」で第一便が就航した。
乗客のターゲットは、コスト意識の強い個人。「普通運賃が大手航空会社より1万円安い」という価格面での差別化だけではなく、レディースシートを新設するなど、こまやかな配慮が好評を得た。
さらには単独路線という強みを生かし、福岡の地元企業のほか、マイクロソフト、ヤフーといった企業とのタイアップ戦略を行った。顧客のターゲットを絞ることができる「密室」という機内ならではの販促効果から、大成功を収めた。
このように独自のビジネスモデルを掲げる同社が参考にしているのが、米国のサウスウエスト航空だ。
スカイマークエアラインズでは、清掃や機体整備などのスピードアップによって空港から折り返す発着時間を短縮したり、座席を自由席にすることで発券コストを削減するなど、「米国の航空会社の成功例」(同)を模範にしている。
また、機内食の積み込みや整備業務など、コストが高いアウトソーシングを随時自営化に切り替え、価格競争力を強化している。
「経営面ではまだ赤字計上だが、設備投資も一巡し、ようやくコストを回収する刈り入れ時にきた」(同)という。
後発の小さな航空会社が夢のリゾート地を飛び回る日もそう遠くはない。(マーケットウォーク 鮎川 良)
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