大航海時代
<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第15話 創造的破壊
2002/01/07 16:18
週刊BCN 2002年01月07日vol.923掲載
水野博之 大阪電機通信大学副理事長
大分悪口を書いてきたが、世情感心すべきことも多々ある。実は数日前ある新聞社の主催で学生起業コンペが行われた。応募されたアイデア、提案を見て、思わずウームとうなった。若い人たちの意欲はまことに見事なもので、なかには自らの試作品を会場に持ち込んでデモンストレーションをする人もいた。それがまた至れりつくせりのもので、すぐ起業につながると推察された。
いま日本の経済はたいへん沈滞しているけれども、これら若い人たちを見ていると、いまや日本中にホウハイとして新しい波動がおきつつあるのが感じられた。このような若い人の力を邪魔しないで伸ばしていけば日本復活の兆しになろうというものである。日本版シリコンバレーというわけだ。
こう見てくると、われわれの知らない間に世の中の流れは大いに変わってきているのかもしれない。
知らぬはほとけばかりなり、ということかもしれぬ。これをひとことにしていえば、まさに創造的破壊が急激に進みつつあるといってよいであろう。
水が100度になると突如としてその相を変えるように、創造的破壊というものもチンタラ進むのではない。
極端な表現をすれば、ある日、目が覚めたら世の中の風景が一変していた、ということなのである。
なんだか、その日が近いような予感さえする。誰かが言ったように「近頃の若い者は…」などと言ってはいけないのであろう。ただ、最後にひとつだけ老人の厭味をいっておくと、最後までやり抜くことである。思いつきもよい。行動も早い。古い時代の親離れ。社会離れもよい。
ただ、最後はこれらのものを克服すべく断固としてやり抜くことだ。それがないと、単なるアンチ・テーゼ(反抗者)になってしまうであろう。(大阪・中の島にて)
- 1