【1980年代のIT】人(ひと)こと申す

パソコンは電卓(第6話)

1982/03/15 16:04

SOFFICE理論いかに

 森元雄社長は、モリイチの印刷分野を強化した人である。3年程前、中2階にオープンした「モリイチ・プリント・スナック」は好評である。また、ホログラフィにも興味を持ち、研究中である。小柄で、腰の低い社長だが、勉強家。SOFFICEも、そんなところがら生まれたといえる。東京でも、東京以外でも、駅前通りの繁華街を○○銀座と呼んでいる所は多い。その意味では日本各地に銀座がいっぱいである。

 だが、ほんものの銀座はひとつしかない。その銀座通り沿いには100年以上の歴史を持つ店がここかしこにある。京橋のモリイチもそのひとつ。明治5年の創業というから110年になる。紙・文具の卸商として京橋の一等地で営業を続けてきたが、時代の流れに伴って、複写機、ファクシミリ、オフィス・コンピュータなども販売している。

 モリイチには「SOFFICE」という考え方がある。ソフトウェア・イン・オフィスをもじつたもので、OAが話題になり始めた頃かり使い始めた。SOFFICEを簡単に言えば、ユーザー・ニーズを知っているのはメーカーよりディーラーであり、ディーラーこそがユーザー個々に応じたオフィスシステムを提供しなくてはならない、という思想である。ユーザー・ニーズに応えていくため、現在、社内でパソコンを導入、研究を進めている。

ビジネス利用は幅広い


 最近、パソコンのビジネス利用が徐々に始まっているが「事務処理的な捉え方をしている例が多い。一種の固定観念だ。ホビーかビジネスかといった分け方をする。だが考えてみれば、それほど単純ではない」同じ1台のパソコンをホビー的に使うこともあれば、デザインやグラフ処理などのビジネス用途として使うこともある、というわけである。「パソコンは、電卓みたいになると思う。電卓はビジネスにも、個人のちょっとした計算にも使われているが、パソコンの利用もそんな形になると思いますよ」 。いつ、どこのパソコンを売るかは未定だが、それほど先のことではないようである。(妙)
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