【1980年代のIT】人(ひと)こと申す
独学で使いこなす パソコンの三段階利用説(第1話)
1981/10/15 16:04
週刊BCN 1981年10月15日vol.1掲載
「パソコン教室のカリキュラムをみると、どこも2、3日の教育日程である。この程度ならば自分で勉強してみよう」というわけである。マニュアルのほか、月刊誌を片手に勉強をした。「熱中すると、時間の立つのを忘れるほどおもしろい」。それもテレビゲームよりビジネス用のプログラム開発の方がおもしろいという。その後、ますますパソコン熱はたかまり、8月には二台目のパソコンを買った。ソードのM23マークⅢである。双方のパソコンを使っての意見は興味深い。PC一8000はN-BASIC、M-23はPIPSでプログラムを開発する。「個人で買うにはPC-8000の方が安くて手ごろ。BASICはプログラムを組むのが簡単だが、まわりくどい」。ノミとカンナでプログラムを組むようなものだと表現する。
「M23はサービスに欠落したところがあるが、PIPSは変化にとんだ対応性がある」と、歯に衣をきせない評価をする。これは真剣にパソコンを使う姿勢がいわせるものである。EATの入口横の事務所に、キーボード、CRT、プリンタ、フロッピーディスクのM23が置いてある。店長がかろうじて一人座われるぐらいの狭い事務所である。パソコンを導入して10ヶ月を経過した現在、処理業務は月を追って増えている。(1)アルバイトの給与計算(2)棚御し集計処理(3)現金出納管理(4)日計売上計算(5)パーソナル・ファイル(6)仕入れ台帳管理(7)原価計算(8)顧客台帳管理(9)売上げ分析(10)メニュー情報の管理などである。
このうち、手計算に時間がかかる処理からパソコンにまかせている。いわゆるコンピュータ最大の特長である処理速度の速さを効果的にビジネスに役立てようという狙いである。中垣氏はコンピュータの利用を現場、ミドル、トップの3段階に分けて説く。現場段階は、処理速度の速さを活かした労働生産性の向上とミス防止、ファイリングの改善。ミドルは、現場情報を活用した商品計画に役立てる。トップは、価値基準の判断材料をコンピュータに求め、計数管理経営を実行する。EATのパソコン利用は今のところ現場段階。この速さだと一年以内にトップまでゆく。(直)
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