SAPジャパンは2月19日、2025年の事業戦略説明会を開いた。鈴木洋史社長は「AIファースト、スイートファーストを推進する」と述べ、AIアシスタント「Joule」を活用し、ERP製品において顧客の業務プロセスを効率化する取り組みに注力するとした。販売においては、パートナーがクラウド製品を再販する割合が高まっており、より間接販売を加速するためにパートナーの自走を支援する考えを示した。
鈴木洋史 社長
24年の業績について、国内では、総売り上げ、クラウド製品の売り上げを含むすべての指標でグローバルの成長を大きく上回ったと紹介。既存ERPからクラウド化する「RISE」、新規でクラウドERPを導入する「GROW」のいずれも大きく成長しており、「日本企業のクラウドシフトが当社の想定以上に進んでいる」(鈴木社長)と業績好調の背景を説明した。パートナービジネスの成長にも触れ、パートナーの案件が前年比3倍になったとした。
25年はグローバルで、営業利益の前年比約30%増を見込んでおり、日本でも同等の成長を目指す。戦略として、ビジネスにおけるAI活用を推進するとし、そのためには、システムのコアな部分をクリーンに保ち、カスタマイズを必要最低限に抑えて活用する「クリーンコア」をより一層推進していく必要があると指摘。クラウド製品にはAI機能が多く搭載されており、顧客はERPを使うだけで自然とAIを活用できるのが特徴だとした。
25年に国内で機能の提供開始を予定するJouleは、開発要件を入力するだけでSAP独自言語のABAPが自動生成されたり、SAPのコンサルティングスキルの学習によって、「SAP S/4HANA Cloud」の設定変更の際などに、最適なパラメーターを提案したりといったことができる。鈴木社長は「システム導入の短期化、効率化、品質向上を同時に実現し、本稼働後も継続改善ができるようにする。『SAP Business Suite』で顧客のDXを支援する」と述べた。
パートナー戦略については、新機能のトレーニングを充実させ、パートナー専任のチームを置いて支援を強化する。24年はパートナー再販のクラウドビジネスが前年比44%増と大きく伸び、新規のパートナーが41社増えた。SAP認定コンサルタントも前年比30%増となっている。鈴木社長はパートナーの状況について「パートナーの育成には注力し続けており、プロジェクトは何とか回っている」とした一方、「(導入や運用を効率化する)ツールを使ってもらい、人手を掛けるのでなくやり方を変える支援により注力したい」と述べた。
(堀 茜)