日本HPは1月から2月にかけて、全国11都市でパートナー向けのイベント「HPパートナーロードショー2025」を開催している。2月17日には沖縄県浦添市で実施。10月の「Windows 10」サポート終了を前に「Windows 11」への移行がPC市場で大きな商機となる中、デバイスにクラウドサービスなどを併せて提案し、パートナーのビジネス拡大につなげてほしいと呼び掛けた。また、今後市場拡大が期待できる「AI PC」の最新情報を伝えた。
（取材・文／堀 茜）

パートナーと共に市場拡大

　パートナー営業統括の小林宗洋・執行役員は、2025年のPC販売において大きな追い風要因となるWindows 11への買い替え需要について「2月、3月に波が来ると言われていたが、後ろ倒しになっており、8月から10月頃までずれ込みそうだ」と述べ、「パートナーの皆さんの力を借りて移行を進めたい」と意気込んだ。また、GIGAスクール構想第2期向けのGIGA端末については、「どこが他メーカーと違うのか、手に取って見ていただきたい」と呼び掛けた。
 
　もう一つのPC販売の柱として、NPUなどを搭載しAIワークロードをエッジ側で実行可能にするAI PCが「メインテーマになる」と説明。Windows 11への移行とGIGAスクール第2期終了後のPC市場をけん引するのはAI PCになるとの見方を示した。小林執行役員は「AI PCで何をすれば生産性が上がるのか、ユースケースをこれからつくっていく段階だ。皆さんと共に（AI PCの）市場をつくっていきたい」と呼び掛けた。

デバイスとサービスをセットで

　Windows 11への移行状況については、Windows 10からのアップグレードが必要なデバイスは国内に1900万台あるとする日本マイクロソフトの調査結果を紹介。アプリケーションの互換性の問題でアップグレードができないケースでは、有償の延長サポートを提案し、中長期的には新しいデバイスの購入を呼び掛けてほしいとした。
 
　「Windows 7」からの移行時には企業によって計画から移行完了まで440日を要したとのデータに触れ、10のサポート終了まで一年を切る中、時間と工数を削減するために、デバイスのセットアップをクラウド上から自動的に行える「Autopilot」や、モバイルデバイスとモバイルアプリの管理が行える「Intune」の活用が効果的だとした。

　また、パートナーのビジネス拡大のため、デバイスに加えて「Microsoft 365」などのクラウドサービスや、パートナーの独自ソリューションをセットで提案することでアップセルが可能だと説明。デバイス販売によってトップラインを維持しながら、サブスクリプションの収益を確保することで成長を目指してほしいとした。

独自の生成AI機能を搭載

　イベントではAIセッションとして、AI PCの最新製品や今後の普及拡大につながる機能の紹介を行った。同社は法人向けの次世代AI PCとして、米Intel（インテル）の最新プロセッサーを搭載した「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」を国内で3月に発売する。最大48TOPSのNPUを搭載した最新の「Copilot＋ PC」になる。同社独自の生成AI機能「HP AI Companion」も搭載。PC内の個人ファイルを分析してインサイトを引き出したり、自然言語で質問して情報やアドバイスを提示してもらったりといった使い方ができる。作業が効率化され、重要な決定をより早くできるようになることを利点として挙げた。
 
　生成AIについては、クラウドに依存した現状の利用形態だけでなく、エッジを併用するハイブリッドな使い方が浸透していくとの見通しを示した。デバイス上で推論を行うことで、▽画像や動画の生成を約5倍高速化▽低コスト省エネルギーの実現▽データのセキュリティー確保―といったメリットがあると解説した。高性能なフラッグシップモデルから価格を抑えたエントリーモデルまで幅広いラインアップをそろえており、顧客の要望に応じた提案が可能であることを強調した。

　会場には、HPのPCやワークステーションなどの最新製品を展示。来場者はPCを手に取って軽さを体感したり、独自の生成AI機能を試したりして製品情報に触れた。