キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、ITソリューション(ITS)事業の売り上げを2025年度(25年12月期)に3000億円とする目標を1年前倒しで達成した。1月29日に発表した24年度決算によると、ITS事業の売り上げは前年度比17.0%増の3146億円で、目標値を146億円上回った。これに伴い25年度目標を3400億円に上方修正した。5カ年の長期経営構想がスタートした21年度のITS事業の売り上げ2211億円に対して、1200億円近く上乗せする計画だ。
ITS事業が伸びた要因は23年10月の年商約100億円のSIerであるTCS(旧東京日産コンピュータシステム)のM&A効果に加え、グループ中核SIerのキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)のSIビジネスが堅調に推移。キヤノンITSの売上高は前年度比8.6%増の1395億円に伸長。全国約150の拠点を展開するキヤノンシステムアンドサポートの中小企業向けのITS体系「まかせてIT DXシリーズ」も好調だった。
足立正親 社長
また、自社データセンター(DC)を活用したITアウトソーシング(ITO)やユーザー企業の業務を受託するビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)事業は、25年度目標の320億円に対して24年度は前年度比58.8%増の413億円に到達。BPO会社のプリマジェストをグループ傘下に迎え入れたこともあって大きく伸びた。前倒しで達成できたことから25年度のITO/BPOの売り上げ目標を475億円に上方修正している。
長期経営構想の期間内で準備した成長投資予算の2000億円は、24年度までにM&Aなどで約7割を支出している。25年度もITS領域を中心に「成長に向けたチャンスを逃がさないよう投資していく」(足立正親社長)構えだ。
キヤノンMJの24年度の全社売上高は前年度比7.3%増の6539億円、営業利益は1.2%増の531億円で4期連続の増収増益を達成している。長期経営構想では25年度に売上高6500億円、営業利益580億円を目標としていたが、売上高については1年前倒しで達成できたため目標値を6800億円に上方修正。営業利益についてはITS領域を中心とした先行投資を続ける予定であることから目標値を560億円に下方修正した。足立社長は「目標値として掲げていた580億円も引き続き視野に入れる」と成長に意欲を示した。
(安藤章司)