伊藤忠テクノソリューションズは、「SAP S/4HANA」導入に必要なソリューションを一元的に提供するサービス「Figues」の販売拡大に取り組んでいる。売上高規模200億~1500億円の企業を主なターゲットとして、ERPシステムのクラウド移行と周辺システムの開発を一貫支援し、経営効率化やデータ活用などを促す。1月27日には報道向け勉強会が開かれた。
2021年10月に発表されたFiguesは、S/4HANAのパブリッククラウド版の導入支援と周辺開発を組み合わせ、伴走型で提供するサービスとなる。
原則として、S/4HANAの標準機能で業務を完結できるようにする「Fit to Standard」を重視する一方で、競争領域に関係したり、標準機能ではカバーしきれなかったりする部分については、拡張開発基盤となる「SAP BTP」(Business Technology Platform)を活用し、S/4HANAのコア部分をクリーンな状態に保ったまま、必要最小限の機能を追加する。
今村晃彰 部長
リテール&サービスビジネス企画本部の今村晃彰・R&Sビジネス企画部部長は、外部システムとの連携が容易なSaaS型ERPは市場環境の変化が激しい現代に適したソリューションであるとの見方を示した上で、Figuesのコンセプトについて「お客様のビジネスの目的達成に向けてERPの位置付けを改めて定めるとともに、お客様のシステム、業務の変化に追従できる仕組みを提供したい」と話した。
23年12月にはSAPジャパンと「GROW with SAP」の戦略的パートナーシップを締結した。GROWは、S/4HANAのパブリック版を中核に、ベストプラクティスのサポート、導入促進サービス、トレーニングなどを一体化したオファリングで、Figuesとの共通点は多い。先行して展開されているFiguesで蓄積された知見やスキルを生かし、両社は連携して、中堅・中小企業向けERP市場の開拓を図る考えだ。
(藤岡 堯)