製造業向けERPベンダーのIFSジャパンとワークスアプリケーションズ(WAP)は7月10日、戦略的業務提携を締結したと発表した。特定業界向けのERPに強みを持つIFSと、国産ERPを提供し国内の商習慣に適応したシステムを構築できるWAPが連携し、部門ごとに適切なシステムを導入する「2層ERP」の構築を提案していく。
IFSジャパンの大熊裕幸社長(右)と
ワークスアプリケーションズの
秦修代表取締役最高経営責任者
スウェーデンに本社を置くIFSは、80カ国以上で事業展開し、フィールドサービス管理、設備資産管理、ERP、サービスライフサイクル管理の各機能を一つのプラットフォームで提供している。特に、航空宇宙・防衛、サービス産業、通信、建設エンジニアリング、エネルギー、製造の6業界に強みを持つ。日本向けに投資を拡大し、ビジネスの成長を目指す戦略の一環として、WAPとの提携を決めた。
業務提携の背景について、同日の会見で、日本の大手企業における基幹システム周辺の投資および業務の効率を改善することを目指すと説明。特に、同社の「IFS Cloud」とWAPの「HUE」の連携で実現する「2層ERP」と、複数の機能を柔軟に構成可能な「コンポーザブルERP」に焦点を当て、標準機能でシステムを構成し「完全標準化」と「脱アドオン」の実現を目指すとした。
IFSジャパンの大熊裕幸社長は提携の意義について「顧客を第一に考えている。基幹システムに関する、これまでの課題を解決する選択肢を提供できるようになる」と説明。IFSの顧客には、日本に特化した財務管理、固定資産管理などのソリューションをWAPを通じて提供する一方、WAPの顧客向けに製造業などに展開しやすいソリューションを提案し、シナジーを出していく方針だ。
WAPの秦修・代表取締役最高経営責任者は、「大手顧客の多くが古く肥大化したERPの刷新を課題にしており、IFSと連携することで、国産ERPベンダーとして当社が足りていなかった領域の価値を顧客に提供できるようになる」と述べた。ERPベンダーとしては競合関係にある両社だが、秦代表は「パートナーシップは補完関係にあると考えており、切磋琢磨しながら、より高いイノベーションを生み出せる」と強調した。(堀 茜)