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米Nutanixが年次カンファレンス「.NEXT 2024」をバルセロナで開催 他社を含むコンテナ環境を一括管理できる新製品を発表
2024/06/06 09:00
週刊BCN 2024年06月03日vol.2016掲載
(取材・文/五味明子)
5月21日に行われたオープニング基調講演では、ニュータニックスのラジブ・ラワスワミCEOが登壇し、多くの新機能やパートナーシップ、導入事例を発表した。今回のカンファレンステーマは「Run everywhere. - Let's make big things possible.」で、ハイブリッド/マルチクラウドのプラットフォームをシームレスに統合するという、同社が創業時から提唱する考え方をさらに推進する内容のアナウンスが相次いだ。
基調講演で明らかになった主な発表は以下の通り。
■Nutanix AHVの新機能
自社開発のハイパーバイザー「Nutanix AHV」にセキュアスナップショット機能を追加した。また、米Cisco Systems(シスコシステムズ)のブレードサーバー「Cisco UCS」上でAHVが実行可能に。
■コンテナアプリの管理を強化
Kubernetesクラスターの管理プラットフォーム「Nutanix Kubernetes Platform(NKP)」を新たに発表。プラットフォームエンジニアリングを支援。
■サステナビリティー機能の追加
中核製品群であるクラウド基盤「Nutanix Cloud Platform(NCP)」に、Nutanix環境の電力消費量をリアルタイムで可視化する機能を追加。
■Project Beaconのアップデート
1年前の「.NEXT 2023」で発表したPaaS型サービスのビジョン「Project Beacon」に関して、NKPのデモを披露。Nutanix環境のコアOS「Nutanix AOS」のクラウドネイティブ化も発表。
■AI導入加速に向けた新機能と協業
エンタープライズAIプラットフォームを構築するためのフルスタックソリューション「Nutanix GPT-in-a-Box」が2.0にアップデート。UIの刷新、米NVIDIA(エヌビディア)のマイクロサービス「NVIDIA NIM」の統合、米Hugging Face(ハギングフェイス)とのパートナーシップ強化、非構造化データのサポート、GPUサポートの拡張、AIベンダー各社とのエコシステム強化など。
■Dell Technologiesとの協業強化
米Dell Technologies(デル・テクノロジーズ)との協業強化により、サーバー「PowerEdge」とNCPを統合した新たなアプライアンス製品を開発。2024年内に早期アクセスを提供へ。
特に注目されるのは、プラットフォームエンジニアリングソリューションとして登場したNKPだ。ニュータニックスは23年12月、クラウドネイティブソフトウェアベンダーの米D2iQ(ディーツーiQ、旧Mesosphere=メソスフィア)を買収。NKPはD2iQの技術をベースに構築されている。
NKPは、ニュータニックス自身が提供するコンテナ環境の「Nutanix Kubernetes Engine(NKE)」に加え、米Red Hat(レッドハット)の「OpenShift」、独SUSE(スーゼ)傘下で開発される「Rancher」、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「EKS」といったメジャーなKubernetes環境をサポートしており、顧客のKubernetes活用の成熟度に応じて段階的に機能を提供することが可能だ。
また、NKPはアプリケーション/データの「Run Anywhwere」を掲げるPaaSレベルのサービスの構築を目指す「Project Beacon」において、重要なインフラコンポーネントに位置づけられており、顧客企業のクラウドネイティブ化を強力に支援することが期待される。NKPの提供開始は24年夏を予定している。
一方で今回の.NEXTでは、米Broadcom(ブロードコム)によるヴイエムウェアの買収を背景とした、「VMware」環境のユーザーの移行を促進するアプローチにも注目が集まったが、オフィシャルには目立ったアナウンスを行っておらず、ラワスワミCEOをはじめニュータニックス幹部は報道陣の取材に対しても慎重な態度を崩していない。
ただし、VMwareからの移行事例の公開、NKPやクラウドネイティブのAOSといったVMwareの代替となり得る製品の強化、シスコシステムズやデル・テクノロジーズといったハードウェアベンダーとのパートナーシップ拡大など、ブロードコムによる買収から続く顧客やパートナーの混乱を解消する“VMwareオルタナティブ”としての準備を徐々に進めている印象だ。今後、ニュータニックスがVM
wareユーザー/パートナーに対してどう動いていくのか、引き続き注目される。
.NEXT 2024の詳細レポートは近日中に本紙にて掲載する予定。
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