NTTデータとテラスカイは4月12日、資本業務提携を発表した。米Salesforce(セールスフォース)製品の事業強化が目的。NTTデータがテラスカイの株式を最大で20.12%取得する。セールスフォースの認定資格の取得件数で国内第2位のテラスカイと6位のNTTデータグループを合算すると4670件で、国内トップとなる見通し。今回の提携によってCX(顧客体験)領域で3年後に両社合算で500億円の売り上げを目指す。
株式の取得ではNTTテクノクロスが保有するテラスカイ株式(全株式の10.76%に相当)と、市場での買付けによる株式(同5.21%)によって計15.97%を取得。加えてテラスカイの2025年2月期~27年2月期のいずれかの事業年度で営業利益が25億円を超過した場合、NTTデータが新株予約権を行使することで最終的に計20.12%を取得する計画。テラスカイの本年度(25年2月期)営業利益は前年度比73.3%増の9億円の見込みだが、これにはNTTデータとの提携効果は織り込んでいない。
NTTデータの冨安寛常務(右)と
テラスカイの佐藤秀哉社長
テラスカイの佐藤秀哉社長は、「NTTデータとの提携の成果を目に見えるかたちにしたい」と述べ、提携関係をより深める目安として、向こう3年間のうちに営業利益25億円達成という指標を組み入れた。提携の成果が数字に表れれば株価も上がり、既存株主やテラスカイにとってメリットがあるとみているようだ。NTTデータの冨安寛・取締役常務執行役員は「互いに緊張感を持つという狙いもあって業績連動を一部取り入れた」とコメントした。
NTTデータは重点分野の一つにCXの変革を掲げており、変革を実現するにはCX分野で存在感のある技術者の拡充は必須とし、両社の技術者を総動員してそれぞれの既存顧客のCX変革を働きかけていく。具体的には、▽金融や公共などNTTデータが特に強い業種向けのサービス企画▽NTTの「tsuzumi」など生成AIを活用したサービス企画▽技術者の育成と獲得▽アジア太平洋地域を中心とした海外展開-の4項目でCX変革を推進していく。
NTTデータは25年度までに国内M&Aで1000億円規模の予算を組んでおり、今回のテラスカイとの資本業務提携はその一環。NTTテクノクロスと市場からの買付け分で30~40億円を投資する見込み。4月5日にはSIerで年商約200億円、従業員数約1400人のジャステックの連結子会社化を目的とした株式公開買付けを発表している。「成長を持続させるため数万人規模のIT技術者を新たに確保していく」(冨安常務)と技術者拡充に力を入れる。
(安藤章司)