フラッシュストレージ専業メーカーの米Pure Storage(ピュア・ストレージ)は、3月にグローバルでパートナープログラムを刷新し、パートナーを通じたサブスクリプションビジネスを強化する。日本法人ピュア・ストレージ・ジャパンでパートナービジネスを統括するパートナー本部の北崎博司・営業本部長は、「国内においても購買動向が変わりつつある。ITインフラをCAPEX(資産)ではなくOPEX(費用)モデルで調達したいというお客様は増えている」と述べ、欧米よりサブスクリプション型商材の浸透が遅いとされる日本市場でも、ストレージ製品をサービスとして提供する形態を本格化する意向を示した。
2024会計年度(23年2月~24年1月)のグローバル売上高は28億3000万ドル(約4200億円)だったが、サブスクリプションビジネスのARR(年間経常収益)は直近で13億7000万ドルで、売り上げの半分近くを占めるまで拡大した。同社は、契約期間中に定期的にストレージコントローラーの新製品を提供し、データ移行作業なしで永続的に最新機種を使い続けることができる保守プログラム「Evergreen」を展開しており、このサービスの伸びが業績を支えている。
北崎博司 営業本部長
新パートナープログラムでは、パートナー向けの営業支援ツールを拡充した。顧客がより高い納得感を得たうえでサブスクリプション型商材を契約し、パートナーにとっての新たな収益機会につながるよう機能強化を図った。具体的には、顧客の要件に応じた見積もりをより素早く作成できるようにしたほか、パートナーが持つ独自のソリューションを見積もりに追加できる機能を用意した。また、現在のストレージの使用状況をもとに将来必要となる容量を算出したり、HDDからフラッシュへの移行で設置スペースや消費電力をどれだけ削減できるか試算するツールも提供する。
北崎営業本部長は、「商談では『買い切りならいくら、サブスクで何年間使ったらいくら』といったかたちで金額が比較されがちだが、きちんとお伝えしなければいけないのは、それ以外の費用も含めたトータルコストだ」と指摘し、将来的な需要の変動に備えるための余剰や、保守要員の確保など、ストレージ運用の支出全体を最適化する提案が求められていると説明。同社では完全従量制のサービスに加え、ハードウェア部分はユーザー側が所有権を持つ形態など、サブスクリプションにも複数の選択肢を用意しており、顧客の要求やパートナーの事業モデルに沿う柔軟な提供が可能としている。
(日高 彰)