シヤチハタは2月19日、電子印鑑・決裁サービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」に関する記者説明会を開いた。電子印鑑の捺印回数が1年間で2倍以上となるなど利用が拡大。インボイス制度の開始などが追い風になったとした。今後はDX推進が課題の中小企業向けに、低価格で導入可能な点などを訴求し販売拡大を目指す考えを示した。
シヤチハタクラウドは、印章メーカーである同社が近年注力しているサービス。バックオフィスの業務効率化を推進するSaaSとして展開している。紙の書類に捺印するのと変わらない操作性で、事務作業の効率化と意思決定のスピードアップが可能になる。
石井慶・デジタル認証事業部長は、最新の販売状況を説明。導入件数は101万件で、利用継続率は97%。基本機能の一つである電子印鑑の捺印回数は2023年が前年比224%と倍増しており「インボイス制度や電子帳簿保存法改正により利用が進んだ」と分析した。電子契約や文書保存、グループウェア機能なども備えており、企業は必要な機能を選んで契約できる。石井部長は「今後も顧客の要望に応じてサービスを拡張していきたい」と述べた。
石井慶・デジタル認証事業部長
説明会では、同社が23年12月に中小企業500社を対象に実施したDXに関する意識調査の結果も紹介。調査によると、全社的にDXに取り組んでいない企業は7割を超え、取り組みが進まない理由として「コストがかかる」「デジタル人材がいない」といった回答が上位を占めた。シヤチハタクラウドは、電子印鑑の捺印と回覧という基本機能を1アカウント月110円から利用が可能で、同社は、価格面でも中小企業がDXの最初の一歩として導入しやすいと説明。小さなデジタル化から業務変革にたどり着けるようにサポートするとの方針で「DXを、『できるとこからトランスフォーメーション』と位置付けたい」として、中小企業向けに拡販を目指すとした。(堀 茜)