データ保護・セキュリティ製品を提供するアクロニス・ジャパンは、販売パートナーのマネージドサービスプロバイダー(MSP)ビジネスを支援する取り組みを強化する。ユーザー企業の環境を保護するサービスの需要が高まる中、パートナーのMSPビジネス立ち上げを後押しすることで、アクロニス製品の導入を加速する考え。
同社は従来、バックアップソフトを主力としていたが、ここ数年でセキュリティ機能や、クラウドを通じた端末管理機能を大幅に拡充し、販売パートナーがユーザー企業のIT運用を支援するための仕組みを整備してきた。グローバルでは2023年11月から、MSPビジネスの運営に必要な知識を学習するためのトレーニングプログラム「MSPアカデミー」を開始。1本あたり数分の動画を中心とした教材で構成されており、これを24年第1四半期以降、順次日本語化し、国内のパートナー向けにも提供する。必ずしもアクロニスの製品や技術に特化したコンテンツではなく、これまで製品販売を主に手がけていたパートナーが、サービス型のビジネスをスムーズに立ち上げるためにはどのようなスキルや人材を用意すべきか、事業ノウハウの伝達に重きを置いた内容にしているという。
スイスAcronis カーチャ・イワノワ 最高営業責任者
スイスのAcronis(アクロニス)本社で販売戦略とパートナービジネスを統括するカーチャ・イワノワCSO(最高営業責任者)は、「ライセンス販売のビジネスは今後も重要であり、当社はパートナーに現在の事業を捨てるべきと主張しているわけではない」と前置きしつつ、「ただし北米や欧州において再販ビジネスが縮小傾向にあることは明白であり、日本市場でもMSPビジネスへの移行・拡大がパートナーにとって喫緊の課題になると考えている」と説明する。
イワノワCSOは「サイバー脅威は高度化しており、ユーザーは複雑なセキュリティ環境を管理しきれなくなってきている」と指摘し、MSPへの期待は今後さらに高まると展望。同社の製品はIT運用に必要な機能を一つの基盤に統合しているため、さまざまな顧客の環境を管理するパートナーにとっても扱いやすいツールとなっており、収益性の高いビジネスを展開できるとアピールする。
(日高 彰)