豆蔵K2TOPホールディングスグループのROBON(ロボン)は8月4日、メタデータ管理SaaS「Mashu(マシュウ)」の提供を始めた。主要なクラウドサービス上にあるデータレイクや、オンプレミス型データベース(DB)のデータ仕様書や定義書に記されるメタデータを読み取り、どのようなデータがどこにあるのかを横断的に検索できるのが特徴だ。データを活用してビジネスを伸ばしたいユーザー企業に役立ててもらうことを想定している。
Mashuは、Oracle製DBやMySQLなど主要なリレーショナルDB管理ソフトのほか、「AWS Glue」「GCP Data Catalog」「Azure Data Catalog」といった大手クラウドベンダーのデータレイクから自動的にメタデータを抽出し、横断的な検索を可能にする。
荒木岳夫 代表取締役
複数のDBに格納してあるデータを横断的に活用する方法は▽DBを一つに統合▽分析用のデータウェアハウスを構築▽データの抽出や変換を行うETLツールを使う─などの方法が存在している。しかし「費用がかさむ、あるいは専門知識を持つ人材が揃えられない、データ抽出に時間がかかりリアルタイム性が損なわれるといった問題があった」と、荒木岳夫・代表取締役は指摘。Mashuはこうした問題を解決する手法としてメタデータに着目し、メタデータの収集と管理を一元的に行うことで、データの所在をリアルタイムで探し出すことを可能にした。
ROBONは市販の会計ソフトからデータを抽出して法人税申告書などを自動的に作成するロボットシリーズを開発しているソフト開発メーカーで、Mashuはロボットシリーズで培ったデータ抽出技術を応用した。サービス名は、透明度が高いことで有名な北海道の摩周湖から着想を得た。メタデータを抽出する技術はデータファブリックと呼ばれる。
主な販売ターゲットはデータを多く持ちながら十分に活用できていない中堅から大手企業を見込む。既存のロボットシリーズは中堅・中小企業が主な販売ターゲットだったのに対して、Mashuの製品特性から企業規模がより大きい顧客が主軸になる。価格帯は10ユーザー、DBのデーブル数が30個までは評価用として無料に設定。以降、テーブル数が100個までは1テーブルあたり月額50円(税別)、ユーザー数10人までは1ユーザーあたり月額1000円と価格を抑えた。
荒木代表取締役は、「企業内に散在しているデータを横断的に検索し、活用することで、企業経営の透明度が高まり、競争力を高められる」と話す。向こう3年で国内外1000社のユーザー企業への納入を目標とする。
(安藤章司)