キヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)は、介護事業所向けのデータ活用支援ビジネスを本格的に立ち上げる。ケアコネクトジャパン(静岡市、齋藤芳久社長)が開発する介護記録システム「ケアカルテ」を使って介護データを記録し、このデータを厚生労働省が運営する「科学的介護情報システム(LIFE)」に送信。LIFEによるデータ分析の結果を介護事業所に還元することで、科学的知見や裏付けにもとづいた介護サービスを実践できるよう支援していく。
末岡淳一本部長(右)と岡哲郎部長
キヤノンS&Sはこれまで全国約2万6000カ所の介護事業所をビジネスターゲットとして、介護サービスの利用者を見守るセンサーや、介護職員を呼び出すナースコールなどを販売してきた。今後はこれら既存商材にケアカルテを加えることで、データの記録・活用領域のビジネスを拡大させていく。ケアカルテはLIFEとの連携をスムーズにできる強みがあり、介護職員の業務負荷の軽減や生産性向上にも役立つ。
ケアカルテの取り扱いに際して、開発元のケアコネクトジャパンに一部出資するかたちで資本業務提携を結んだと今年6月に発表。ケアコネクトジャパンは約1万6000事業所にケアカルテを販売してきた実績を持つが、直販比率が高かったといい、今回の提携によってキヤノンS&Sが「国内最大の販売パートナーになる見込みだ」(キヤノンS&Sの末岡淳一・業種ソリューション営業推進本部本部長)という。
キヤノンS&Sの岡哲郎・介護ICTソリューション推進部部長は、「介護記録システムで記録をつけている介護事業所は多いものの、LIFEと連携し、データ分析の結果を実際の業務に活用している事業所はそれほど多くない」と指摘。データ記録から活用に至る総合的なITソリューション支援サービスを展開することで、介護事業所向けビジネスの本年度(2023年12月期)の売上高は前年度比10%以上の増加を見込んでいる。
(安藤章司)