PFUの主力ネットワーク機器製品「iNetSec FC(アイネットセック・エフシー)」が、病院や自治体、公益団体などのネットワーク可視化の用途で受注を増やしている。同製品は、工場の構内ネットワーク可視化を念頭に2022年3月に出荷を始めたが、他業種からも「ネットワークを可視化したい」という問い合わせが多く寄せられ、ユーザー層の裾野が広がっている。
伴仲輝大 部長
iNetSec FCは、工場など一定ネットワーク規模があるにも関わらず、担当者の異動や、接続端末の変動によってネットワーク構成が分からなくなるといった課題を解決するために開発した。一方、「病院や自治体、公益団体などでも工場と同様の課題を抱えていることから、iNetSec FCの採用増につながった」と、伴仲輝大・ネットワークプロダクト部部長はみている。足元の納入件数では工場が9割、他業種が1割の構成比だが、「来年度(2025年3月期)末までには他業種が全体の3割ほどに拡大する見通し」(同)と手応えを感じている。
工場や病院、自治体などは、管理レベルが一般の大企業の水準に届いていない点を突かれて身代金目的のランサムウェア攻撃の被害を受けやすいことも採用増の背景に挙げられる。
瀬戸千晴氏
PFUでは数十、数百ある端末の設置場所を写真に撮ってiNetSec FCの管理ソフト内に保存できるようにしたほか、ネットワーク構成を定期的に保存し、障害発生前の構成図をすぐに呼び出せるなどの機能強化版を7月31日付で実装。「より使いやすく、容易にネットワークの管理レベルを高められるようにした」(ネットワークプロダクト部の瀬戸千晴氏)。他にもネットワークが二重化された箇所や、通信機器が冗長化されている部分を一目で確認できる機能も盛り込んだ。
PFUではユーザー層を広げていくことで来年度はiNetSec FC関連で年間10億円の売り上げを見込んでいる。
(安藤章司)