リコーは、来年度(2024年3月期)から3カ年の中期経営計画に、デジタルサービス事業の売上高の比率を足元の約40%から60%以上に高める方針を盛り込んだ。複合機を中心としたデジタルプロダクツ事業は、売上高の年平均成長率(CAGR)がマイナス3%で減収になるとみており、デジタルサービス事業を伸ばして会社全体として増収増益を狙う。
デジタルサービス事業の中核を担うのは、アプリやSaaSを統合的に管理するサービス基盤「RICOH Smart Integration(RSI)」だ。RSI上に文書管理やワークフロー、業務プロセス自動化、ローコード開発ツールなどのアプリを構築するとともに、複合機やPFUのドキュメントスキャナをはじめとするエッジデバイスとの連携を増強する。
大山 晃 専務
同社は、文書管理のDocuWareやサイボウズと共同開発した「RICOH kintone plus」や、業務プロセス自動化の「Axon Ivy」など、RSI上で動作するアプリを多数有している。4月1日付けで社長に就任予定の大山晃・取締役コーポレート専務執行役員は「RSIを介して複合機とデジタルサービスと連携させることで、複合機単体では生み出せなかった価値をつくりだせる」とし、複合機をデジタル化の入り口となるデバイスと位置づける。またRSIを基盤としたソフト部品の共通化も進めて競争力を高める。
本年度(23年3月期)の連結売上高は、目標を1000億円上回る2兆1000億円の見込みだが、営業利益はオフィスにおける複合機のプリントボリュームが戻りきらないことから150億円下方修正して850億円で着地する見通し。直近のストックビジネスで約6割を占めるオフィスでのプリントに代わり、SaaSやマネージドサービスなど、非オフィスプリント系の比率を54%程度に伸ばして安定した利益源の確保に努める。
新中計の最終年度となる26年3月期の連結売上高は2兆3500億円、営業利益は1300億円を目標に据えている。
(安藤章司)