米GitHub(ギットハブ)のトーマス・ドムケCEOは12月6日、東京の同社日本法人オフィスで報道向けに事業戦略を説明し、AIの積極的な活用によるソフトウェア開発者支援を加速させる方針を強調した。ドムケCEOは「新しい開発者体験によって、生産性を高め、開発者をよりハッピーにするべきだ」と訴えた。
トーマス・ドムケ CEO
ドムケCEOは、社会におけるソフトウェアの重要性が大きく高まっている現状を指摘した上で、新型コロナ禍などを背景に開発者の不足がより深刻化していると強調。さらにシステムの複雑・巨大化も相まって新たな開発者体験が求められているとし、その確立に向けた戦略の柱として「クラウド」「コミュニティ」「セキュリティ」「AI」の4領域で投資を進めていると説明した。
AIに関し同社は、開発ツール上で書きたいコードの内容をコメントなどで指示すると、AIが自動的にコードの候補を提案してくれる「GitHub Copilot」を提供している。ドムケCEOはCopilotの活用を通じて開発の高速化を実現することで、開発能力が高まるだけでなく「(開発者が)より大きなタスク、より大きな社会的課題に対応することができる」と述べ、AIによって創造性の高い業務に注力できる環境が整うとした。
日本市場については、2022年のGitHub利用者数が前年比で41万人以上増え、合計で200万人を超える規模に達したことを明かした。ドムケCEOは「素晴らしい数字だと思っている」とする一方で、コロナ禍によって日本の顧客との直接の対話が叶わず、顧客エンゲージメントを深めることができなかった点を課題として挙げた。今後は日本の顧客との接点を増やし「日本特有の課題などを確認し、何ができるか考えていきたい」と話した。
(藤岡 堯)